●オゾンの力
十億年もかけて形成され、地球を有害な紫外線から守っている保護幕
と言えば「オゾン層」です。
しかし、人類は近代文明の発展に伴い、
普通の環境では分解されないフロンを作り出した結果、
僅か20年でオゾン層に穴を開けてしまいました。
そもそもオゾンとは、大気中に存在し、
大気を自浄(殺菌・脱臭・脱色)する働きがあるだけでなく、
有害な物質を出しません。
つまり、極めて安全な物質であることから、
あらゆる分野でオゾンが注目を集めています。
その一つとして、歯の治療にも役立っていることをご存知でしょうか。
まず、オゾンは酸素から作られる殺菌力の強い気体です。
まず、オゾンは酸素から作られる殺菌力の強い気体です。
これに着目して開発されたものにヒールオゾンと呼ばれている
虫歯の治療法があります。
これはドイツの歯科器材で実績のあるカボ社が開発しました。
その方法は、虫歯の部分にヒールオゾン装置でオゾンの照射を行い、
虫歯菌を殺菌します。
それからフッ素入りの薬剤を使用して歯の再石灰化を促進します。
10秒照射することで約99%、
20秒の照射では99.9%の細菌が殺菌されたとの実証もあります。
この治療のメリットは、歯を削る量が少なくて済むことから
この治療のメリットは、歯を削る量が少なくて済むことから
痛みを伴う可能性も低くなっている点です。
同時に治療時間の短縮にもつながり、虫歯予防に使用することもできます。
反面、デメリットは、日本国内において医療機器として
認定されていないため、保険が利きません。
そして虫歯の深さが2mm以上の場合、効果が得られないそうです。
また、ヒールオゾンは平成17年に日本に導入された新しい方法であるため、
行っている歯科医院が少ないことも挙げられます。
海外ではドイツ・イギリス・スイス・オーストリアなど、欧州諸国で用いられ、
海外ではドイツ・イギリス・スイス・オーストリアなど、欧州諸国で用いられ、
最近ではアメリカ・カナダ・韓国など、多くの国々の歯科医が
治療に取り入れているそうです。
さらに、虫歯治療だけでなく、歯周病治療、インプラント治療後の痛み、
腫れの緩和などにも効果があることが報告されています。
日本では馴染みの薄いヒールオゾンですが、
これからの多様な治療の可能性が期待されています。
環境面でも、健康面でも私たちを守ってくれるオゾン。
何十億年もの歴史を秘めているだけに、その力は未知数と言えそうです。
(あるる)