●国進民退
「人口は幾何学級的に増えるが、食糧は算術級的に増える。
「人口は幾何学級的に増えるが、食糧は算術級的に増える。
人口は絶えず食糧増加の限界を超えて増加するが、
一種の積極的抑制策として貧困と悪徳が生じ、
結果的に食糧増加の限度内で維持から微増で推移する。」
結果的に食糧増加の限度内で維持から微増で推移する。」
1798年イギリスの経済学者マルサスが
処女作『人口論』で主張したマルサスの法則です。
人口の増加は等比数列的(1、2、4、8、…)なスピードに対し、
収穫量は等差数列的(1、2、3、4、…)でしか増えないため、
自分たちが生き残ってゆくために、
「事後的抑制」(飢餓、病気などによる死亡率上昇)や
「予防的抑制」(晩婚化などによる出生率低下)によって
食料生産と歩調を合わせる形となります。
しかし今、マルサスの法則に変調の兆しが見えております。
しかし今、マルサスの法則に変調の兆しが見えております。
世界人口は2013年で約71億人、2050年には90億人になると
予想されていますが、労働年齢人口は減少する傾向にあり、
日本、欧州は労働力人口から退出する人が
参入する人口を上回っております。
更に、今後10年内にロシア、カナダ、韓国、中国などの
主要経済地域でも労働力人口が減少し、
中でも世界経済を牽引している中国が、
2012年1月に生産年齢人口の総人口に占める比率が
2011年74.4%と2010年74.5%から初めて減ったと
発表したことは衝撃的でした。(2020年には72%を割り込む予想です。)
中国が出す統計発表は肯定的な内容が多く、
中国が出す統計発表は肯定的な内容が多く、
李克強首相もかつて「電力、鉄道貨物量、銀行融資の3データ以外は
人為的なので参考にしかしない。」と言っていたほどです。
総人口のピークは2030年14億5330万人とされていますが、
人口抑制として導入した「一人っ子政策」から約30年、
当局が想像していた以上に速く少子高齢化が進んでいることに
危機感を募らせているのではないでしょうか。
先月、開催された三中全会(中央委員会第3回全体会議)では
先月、開催された三中全会(中央委員会第3回全体会議)では
今後の政策運営における基本方針について60の項目が採択され、
金融市場の自由化推進、都市・農村の二元構造改善、
税制改革と並んで一人っ子政策の緩和が打ち出されたことは注目です。
今後、進展が見られるようであれば、
効果が出るまでに時間はかかっても、
生産年齢人口の減少に歯止めがかけられるかもしれません。
2008年に人口のピークアウトを迎え、
バブル崩壊からの約20年間に亘りデフレ・低成長の辛酸を味わった
日本の苦い経験の原因には、世界でも例を見ないほどの
急速な高齢化と人口減少にあったと考えられます。
中国が今になって政策変更を表明したのは遅すぎるかもしれませんが、
人口危機で崩れ始めたマルサスの法則に気付いた
習近平政権の姿勢と実力が問われる時が来ています。
(アルフィックス日報)