◇進化を続けるナイン
 昨夏の新チーム編成後、監督、中富力(41)はまず、ナインに全国レベルを知ってもらうことから始めた。その一つが遠征だ。夏休みの練習試合でさっそく力の差を思い知らされる。
 チームは昨夏のレギュラー5人が残る。練習試合でほぼ負けなし。2枚看板の高橋貴洋、三上慎司が先発すれば、そのほとんどで大差で勝利した。
 ところが――。8月11日の神港学園(兵庫)との練習試合。同学園のエース、林健太は昨春のセンバツで南陽工(周南市)を完封している。練習試合では林のほか、2番手投手もマウンドに上がらず、3番手投手。「序盤から引きずり降ろし、林君と対戦したい」。ナインの多くはそんな思いでバッターボックスに入った。が、結局打ち崩せず、逆にエース高橋が打ち込まれ1―5で完敗。三上が先発した2試合目も及ばなかった。
 試合後、高橋と三上、捕手の原田直輝は同学園監督、北原光広に呼ばれた。制球力の重要さなどをアドバイスされ「追い込んでからの決め球よりコントロールの重要性を学んだ」と高橋。このときの屈辱はナインにとって相当な刺激になった。
 以来、ナインは常に全国レベルを念頭に練習メニューをこなすようになった。いっぷう変わった柔軟運動など遠征先で印象に残った練習法はどんどん取り入れた。練習メニュー表には「東福岡」など強豪校の名がいくつも並ぶ。
 9月以降、練習試合と秋季大会で12連勝し、中国大会ではベスト4進出。準決勝で広陵(広島)と対戦したが、4点を追う苦しい展開ながら九回に三上の本塁打で2点差に迫るなどの粘りを見せた。安打数では広陵を上回った。
 試合後、中富は「強豪と互角の試合ができ自信になった」とナインをねぎらった。センバツ出場を決めた26日、主将の国本鐘悟は「広陵ともう1回やりたい。今、全力で向かえば通用する」と胸を張った。
 ナインは進化し続け、半年間で頼もしく成長した。しかし、玉国光男総監督は満足しない。「今のままではまだまだ全国の強豪には勝てない。冬場のレベルアップが勝利の鍵だ」(敬称略)=つづく

1月29日朝刊