商売の基本は「安く仕入れて高く売る」です。

  仕入れ値などのコストと販売価格の差額が損益となり、
  コストが低いほど利益は増え、コストが高くなると利益は減ります。

  コストが上がって利益が減る場合、値上げをしますが、
  それは販売量の低下につながります。

  当たり前のことを書きましたが、近い将来、この当たり前の仕組みを
  より身近に実感することになりそうです。

   1年前には多くの人がその兆候を感じ、対策を取り始めていましたが、
  昨年夏からの金融危機によって、対策は先送りにされています。

  その兆候とは、原油をはじめとする商品市場の急激な高騰です。

  以前は、先進国の消費が世界シェアの大部分を占め、
  非先進国は、原料を安価で供給したり、
  安価な労働力による割安な製品を作るなどして、
  先進国が消費をするというサイクルでした。

  これは先進国経済の安定のために、非先進国がある意味泣きを見る形です。

  ところが、わずか1年前、BRICsなど非先進国の経済成長によって、
  これまで安価で供給されていた原料や人件費が底上げされるとともに、
  非先進国が消費者サイドに移ってきたことも明らかとなり、
  ほとんどの人が、インフレ経済へ突入すると予想していました。

   しかしながら、昨年夏の金融危機によって経済はしぼみ、
  1年前に感じていた構造的なインフレ懸念が、金融危機に取って代わられ、
  人の目は目先の金融経済に向いています。

  世界規模で生産調整、在庫調整、工場の休業、閉鎖が行われていますが、
  この調整は必ず終わります。

  そして経済が回復基調に入り、需要が改善しても、金融危機の後なので、
  生産者は設備投資を伴う増産に二の足を踏みます。

  回復した需要が満たされるには、時間がかかることになり、
  需要を減らすための値上げが各方面で起こることになります。

   金融危機は資金を大量に供給すれば、必ず落ち着きます。

  しかし、1年前の原油高騰など、需給バランスが崩れて起こるインフレには、
  即効性の効果的な対策がないことは歴史が証明しています。

  金融危機の改善は、より深刻な危機への入り口を意味するのではないでしょうか。

  過去1年の寄り道を抜ければ、1年前の道に戻ると予測します。

  (あるる)