イグサといえば「畳」を連想される方が多いと思いますが、
  この記事を読み終える頃にはイグサのイメージが変わっているかもしれません。

  そこで今回は、日本人にとって馴染みの深い「イグサ」についてご紹介します。

  まず、イグサという名前が異名であり正しい和名は「イ」と呼ばれます。

  更に、茎の中の芯は油をよく吸い上げる性質を持つため、
  日本では古来より行灯(あんどん)の灯心として用いられていたことから、
  「燈心草」とも呼ばれているそうです。

  ちなみに、イグサが畳の原材料として用いられるようになったのは、
  1100年以上も前と言われています。

  原産地はインドですが、シルクロードを経て朝鮮半島に入り、日本に伝わったそうです。

  当時、その用途は「畳」だけでなく、主に薬草として用いられていました。

  日本最古の本草書である本草和名(918年)や
  日本最古の医書である医心方(984年)にも薬草としての記述が存在します。

  実際、イグサの灯心の部分を煎じて飲むと感染による炎症を抑え、
  水腫改善に効果があると記されているのです。

  他にも、焼いて灰にしたものを飲用すると、喉の疾患を和らげるとも言われています。

  その後も抗菌作用があることが確認され、O-157やサルモネラ菌などの食中毒細菌や
  腐敗細菌に対しても効果を発揮することが明らかになっています。

  更に、肺炎の原因となるレジオネラ菌にも効果があると分かり、
  イグサは天然の抗菌素材といっても過言ではないのでしょうか。

  そして今日、最も注目されているのが、イグサに含まれる食物繊維とミネラル成分です。

  他の野菜類と比較すると食物繊維の量が非常に多く、約63%が食物繊維から出来ているのです。

  このことから、健康食品に利用しようという研究も進められています。

  最近では、マンションが増えたことで畳のある和室も減り、
  イグサ自体が身近なものではなくなってしまいました。

  しかし、イグサにはフィトンやバニリン(バニラエッセンス)
  などの成分も含まれていることから、森林浴と同様のリラックス効果が得られます。

  その上、洋室よりも和室の畳の上で勉強をした方が集中力も高まり、
  正答率が上がったというデータもあるのです。

  時代と共に薄れつつあるイグサですが、大いなる可能性を秘めていることから、
  もっと注目を集めていいと思います。

  「イグサ=畳」のイメージが変わったのは、私だけでしょうか。

   (あるる)