今月16日、米財務省は2009会計年度
  (08年10月~09年9月)の財政赤字が、
  過去最高の1兆4171億ドルになったと発表しました。

  1ドル=90円として127兆5390億円、
  とんでもない金額ですが、
  単年度でこれだけの巨額の赤字となった理由は、
  100年に1度の金融危機を乗り越えるために、
  大規模な資金供給を行ったことが原因です。

  現在の経済は、株価が3月を底に上昇を続けているなど、
  危機を乗り越えた兆候がありますので、
  巨額の赤字に見合う効果はあったようです。

  しかし、今後、速やかに財政均衡に取り組むことができなければ、
  危機を乗り越えるための大規模な資金供給が、
  より大きな危機を引き起こす原因になりかねません。

  財務省は財政赤字とともに、米政府の利払い額
  (借金の返済額)も発表しましたが、その額は1909億ドルでした。

  現在は世界中の投資家が安全を求めて米国債に殺到し、
  金利が急速に低下した後ですので、
  1909億ドルの支払いで済みましたが、
  この低金利が続かないのは明白です。

  米国議会予算局(CBO)が発表した最新の財政見通しでは、
  2014年から2019年にかけての5年間は、
  10年債利回りの平均を5.5%と、
  今よりも2%上昇すると予測しています。

  また、これから10年間は財政赤字が続くと予測しており、
  公的債務は2019年までに14兆3000億ドルまで、
  ほぼ倍増するとも予測しています。

  こうした予測の結果、CBOは今から10年後の利払い額が
  7220億ドル(2009会計年度の3.7倍)まで増加し、
  利払いは政府の歳出の14.5%を占めると結論しています。

  この利払い額に社会保障や高齢者医療保険、
  低所得者医療補助など必須の制度の費用を足すと、
  米政府が使える資金は残らず、教育や軍事費など
  の歳出を削減するか、増税するかしかなくなります。

  今の米国は、低金利で借金をして、
  返済にはまだ余裕があります。

  しかし、これはゆとりローンのようなもので、
  将来の金利はCBOが予測しているよう、必ず上昇します。

  数年後に金利が上がって、返済が出来なくなる、
  この図式はサブプライムローンの個人破綻と同じです。

  株価が上昇しても、今年3月からドル安が進んでいることは、
  このままだと米国が数年後、今よりも深刻な危機に直面することを
  見越してのことではないでしょうか。

  (あるる)