●Dの革命

  世界中で話題をさらっている3D映画「アバター」の興行収入が、
  18億5500万ドル(約1670億円)以上となり、
  1997年公開の「タイタニック」を抜き、史上最高記録を更新しました。

  また、国内における映画観客動員ランキングも8週連続で1位を達成しており、
  「アバター」は3D映画の起爆剤になるのではないかと期待が寄せられています。

  まるでその場にいるかのような臨場感を味わえる3D映画は、
  映画の革命との呼び声も高いようです。

  そもそも、人間の目には左右に差(ズレ)が生じます。

  その差に働きかける特殊なメガネをかけることで、
  立体的な映像を作り出すのが3D映画です。

  実は3D映画の歴史は古く、1920年代から上映されていたのです。

  この頃は「アナグリフ方式」と呼ばれ、映像を赤と青で左右に分割し、
  赤と青のフィルターで作ったメガネをかけて鑑賞するものでした。

  これは右目と左目に違う映像を見せる仕組みでしたが、
  フィルターを通すことで本来の色が正確に伝わらないという欠点がありました。

  現在では偏光を利用し、色の波長をずらすなどして立体映像を映し出し、
  奥行き感や飛び出し感をより鮮明な映像で楽しむことができます。

  しかしながら、1949年頃からテレビの普及で映画館への入場者数は大きく減少し、
  近年ではビデオ・DVDレンタルサービスの普及で映画館離れに拍車がかかっています。

  そのため、映画館でしか味わうことのできない迫力と魅力を合わせ持つ
  3D映画は映画界再興の切り札とも言われています。

  現在、3D対応の映画館は世界で5000ヶ所、米国で3000ヶ所、
  日本では約150ヶ所あるようです。

  また、3D映画に後押しされ、複数の映画館を併せ持つ大型施設
  「シネマコンプレックス」も急速に発展を続けています。

  一方で、マイナーな映画を上映するミニシアターや中小映画館の閉館が目立っており、
  3D映画の登場で新しい時代を予感させる映画界は、
  同時に新たな転機に差し掛かっています。

  映画の質は、迫力や大きさだけでは計れませんが、
  この起爆剤が映画界全ての救世主となればと願わずにはいられません。

  (あるる)