●明日は我が身

  先月から、幾度となく日本の国債の現状について書いてきました。

  最近では、経済誌などにも多く採り上げられており、
  改めて日本の財政悪化を痛感してしまいます。

  何度も申し上げますが、今や日本の財政は手の施し様もない所に
  向かいつつあると思うのです。

  10年度予算は歳出92兆円に対して、税収は僅か37兆円となっており、
  税収が歳出の4割しかないというのは、普通の国ではあり得ない姿です。

  言わば、収入の倍以上の借金がのしかかり、その利払いに苦しんでいる
  と言っても過言ではありません。

  日本の国債発行高はすでに安全範囲を超えており、
  世界金融界のランク付けは下がる一方にあります。

  ランクが低いと利息を高くして引き受け手を探さねばなりません。

  更にそれが財政悪化を呼び、
  最終的には資金調達が出来ず破綻に陥るシナリオです。

  今、ギリシャで起きているのがまさにこの現象であり、
  更に周辺国に波及する恐れがあることから、
  欧州全体に危機感が募っているのです。

  ちなみに、日本国債は他国と異なり、
  約95%が自国で引き受けているので心配ないと
  思っている方もおられるかもしれません。

  しかし、短期売買での利ざやを狙う外国人投資家(ヘッジファンド)
  の標的になりつつある事実はあまり知られていません。

  年始以降、日本国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が
  上がり始めていることは、あるる(第1751号)にも掲載しましたが、
  それに比例する形で海外市場において日本売りのポジションをとる
  ファンドが増えていると報告されているのです。

  ちなみに、2月4日に急落したギリシャ国債ですが、
  事前にCDSが急上昇していた事実もあります。

  日本国債(10年債)の先物の場合、東証だけではなく、
  シンガポールやロンドンでも取引が行われていることから、
  投機筋の標的になりやすいと言えます。

  もし、日本の国債が本格的に標的とされたならば、
  日本は無残な状態に陥ることが予想されます。

  遠い欧州で起きているギリシャの財政問題について、
  非常に残念ではありますが、
  明日は我が身と考えている方もおられることでしょう。

  現状では、債務問題にスポットが当たっているユーロの弱さが
  目立つことから、消去法でドルや円が強いと錯覚しています。

  しかし、過去最悪の財政赤字に混迷する米国(ドル)と国債破綻が
  懸念される日本(円)も魅力ある通貨とは言えないと思います。

  先日、ゴールドマン・サックスが1年後の金価格の見通しを
  上方修正したことからも、通貨の先行き不安を
  感じ取ることができるのではないでしょうか。

  (あるる)