第2回 「借換え」できないケースと「住宅ローン控除」の留意点を押さえよう(1)

プロフィール:竹下 さくら(たけした さくら)氏

なごみFP事務所

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引主任/千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科客員教授

ライフプランをベースにした個人のコンサルティングを行うかたわら、講演・執筆なども行う。特に住宅取得に関する相談に関しては、頭金づくり・ローン計画に始まり、物件選び、住宅ローンの見直し&メンテナンスに至るまで、きめ細かなアドバイスを長期的な視点で行っている。

主な著書:「「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本」(日本経済新聞出版社)、「ローン以前の住宅購入の常識」(講談社)

「借換え」できない3つのケース

前回は、「繰上げ返済」に比べて「借換え」すると、より大きな効果を得られる可能性がある点について見てみました。けれども、借換えは、諸費用さえ用意できれば確実にできるというものではなく、中には借換えができないケースがある点に注意が必要です。まずは、3つ紹介します。

1. 健康状態が思わしくない場合

住宅ローンの「借換え」とは、現在借りているローンを一括返済して、新しいローンを組み直すことですから、新しいローンについて再度、審査を受ける必要があります。いまの住宅ローンに付帯されている団体信用生命保険の保障はローン借換えにより終了しますので、借換えに伴って団体信用生命保険も新たに申込みをして審査を受けることになります。
銀行ローンでは団体信用生命保険への加入が融資審査の前提条件となっているのが一般的ですので、健康状態が悪化して団体信用生命保険へ加入できない人の場合は借換えを断られることに。
その場合は、借入先でのローン種類を変更する形で対応したり(固定期間選択型から変動金利型へ変更するなど)、従来のローンで地道に繰上げ返済を行っていく形で、ローン・メンテナンスしていくと良いでしょう。今の借入先に不満がある等どうしても借換えしたいときには、フラット35など団体信用生命保険への加入可否が融資決定を左右しない住宅ローンでの借換えを検討するのも一策ではありますが、別途、生命保険の手当てができているかなど、慎重な判断が大切です。

2. 物件が担保割れの場合

住宅ローンは、住まいを担保に、低利で融資される有担保ローンです。従って、登記簿には借入先の金融機関の抵当権が設定されています。他の金融機関に「借換え」をする際には、この抵当権を抹消していったんサラの状態にし、借換え先の新たな金融機関が抵当権を設定する手順を踏みます。
さて、気を付けておきたいのは、借換え時における「担保評価額」と「住宅ローン残高」の大小です。借換え先の金融機関の担保評価額が住宅ローン残高より大きい場合は問題ないのですが、担保評価額が小さい場合は、融資額は住宅ローン残高より低くなってしまいます。
返済中の金融機関は住宅ローン残高を全額返済することにより、担保を抹消するので、担保を抹消するには住宅ローン残高分の金額が必要です。また、借換え先の金融機関も担保となる家の評価額以上には融資を行わないというのが原則となっています。今の借入先の担保を抹消するために、今のローン残債と新たな融資額との差額について、現金で穴埋めすることがまず必要です。
その場合は、差額分を上乗せする形で新しいローンが設定できる金融機関をあたってみるのも一策ですが、その分だけ借入額が増え、余分な金利負担が生じる点には十分に理解しておきたいところです。ただし、あくまで返済能力を重視しての対応のため、以前よりも大幅に年収が下がっている場合など、借換え時の返済能力を低く審査されてしまうと差額分を上乗せして借りることができないケースもありますので、楽観視は禁物です。

3. 過去に滞納歴がある場合

住宅ローン審査では、個人の信用情報ももちろん確認されます。もしも、過去に返済を滞納したことがあった場合(住宅ローン返済以外の借入れも含む)には、借換えの審査をパスしないことがあります。
 
 (住まっぷ)