●日本の象徴

  4月16日、環境省より2008年度の温室効果ガス排出量が発表されました。
 
  京都議定書規定の基準年である1990年の総排出量から比べると、
  二酸化炭素の排出は1.6%増の12億8200万トンとのことです。
 
  温暖化は年々進み、ヒートアイランド現象が問題となっている都市部では、
  ここ数年多くの熱中症患者が出ています。
 
  その対策の1つとして「壁面緑化」に取り組む企業が増えており、
  都市部では「緑の壁」が見られるようになってきました。
 
  壁面緑化と言えば、くるくると上に向かって伸びるツタ植物が使われていましたが、
  近年では「苔」を使った壁面緑化に注目が集まっています。

  苔を使った壁面緑化は土壌や肥料を必要としない上、
  大気中から水分や養分を取り込むことができるため、
  低コストで管理ができるようです。
 
  そして、苔は生命力が強く、細かく切っても、乾燥して仮死状態になっても、
  水分と太陽光を与え適切な処置をすれば再生します。
 
  例えば、「スナゴケ」は自重の約20倍もの水を保つことで、
  大気の乾燥に対し、体内の水分を蒸散して生命を守ります。
 
  このような性質を壁面緑化に利用することで、断熱、遮熱効果で
  紫外線等による建物の劣化を抑える働きが生まれます。

  また、苔が温暖化対策に有効である理由がもう1つあります。
 
  一般の植物は炭素を体内に固定化する働きを持ちますが、
  枯れや腐食、森林伐採の結果、
  取り込んでいた二酸化炭素を大気中に還元します。
 
  そのため、二酸化炭素の吸収と排出の収支は概ね1:1と言われています。
 
  一方、無機質上に生育できる苔は腐食の進行が極めて緩やかなため、
  炭素を固定したまま堆積していきます。
 
  長期的に見ると他の植物に比べて炭素の固定化度が著しく高く、
  堆積した苔は泥炭の一種であるピートモスを形成し、
  土壌改良や鉢物用土に利用されます。

  現在、世界では約25000種類の苔が確認されておりますが、
  日本にはそのうち約2500種類が存在し、
  アメリカに次いで世界で2番目に苔の多い国です。
 
  昔から苔は庭園や盆栽で利用され、国歌・君が代にも使われるなど
  日本人に親しまれてきました。
 
  銀閣寺や苔寺と呼ばれる西芳寺では、苔むす庭が今でも人々に愛されています。
 
  都市部で広がり始めた壁面緑化が、千代に八千代に日本を、
  そして世界を潤してくれることを願い、
  温暖化防止への大きな効果を期待したいと思います。
 
  (あるる)