●今の電卓でも

  かつての携帯電話は肩に掛けるタイプだったことから
  「ショルダーフォン」と呼ばれ、3kg程の重さがありました。
 
  更に遡り、自動車のバッテリーを電源とした
  「自動車電話」があったことも皆様ご存知のことと思います。
 
  その後、技術は進歩し、現在発売されている
  携帯電話のほとんどは片手に収まるものとなっています。
 
  このように小型化することで便利になった物が
  私たちの身の回りにはたくさんあります。
 
  今回はその一つでもある「電卓」の歴史をご紹介したいと思います。

  まず、電卓とは「電子式卓上計算機」の略であり、1964年に
  世界で初めてシャープ(早川電機)が商用化に踏み切りました。
 
  当時の重量は25kgもあり、
  見た目はタイプライターのようなものだったようです。
 
  また、値段も53万5000円と、
  当時の車の価格が54万円程だったことを考えますと、
  非常に高価なものでした。
 
  そして1979年に「電卓」が正式名称となって以降は
  小型化が進み、今日の形態となっています。
 
  ちなみに、電卓が開発される前の1940年代に登場した
  初期の計算機ともなると、その装置の規模は
  倉庫一個分や部屋一室分もあったそうです。

  シャープが商用化に踏み切った1964年と言えば、
  家電業界が不況に突入した年です。
 
  しかし、シャープの副社長を務めた佐々木正氏は、
  「1人1台、必要になる時代がすぐ来る」と確信し、
  その研究・開発を手がけ続けてきました。
 
  世の中が不況になる危険性がある時に求められる商品を
  逆算した結果、企業は人員を減らし、事務の能率アップのために
  高性能の計算機が必要になると判断したからです。
 
  さらに、家庭でも家計のやりくりのための計算が
  必要になると考えた結果が今日の電卓の礎となっています。

  佐々木氏による小型電卓の研究・開発は広く評価され、
  2003年には電気・電子・情報通信分野において
  世界最大の学会であるIEEEから最高位の称号
  「名誉会員」を受賞しています。
 
  最近では全てにおいて小型化・軽量化が進んでいますが、
  その根底には先人たちの並々ならぬ努力があることを忘れてはなりません。
 
  今の電卓であれば、数式を打ち込めば当たり前のように
  答えが導き出されます。
 
  しかし、先人たちの功績は今の電卓でも計り知れないのは事実です。
 
  (あるる)