●煙も良し悪し

  5月31日の「世界禁煙デー」に合わせ、
  島根県内で営業する108のタクシー会社が
  車内全面禁煙に踏み切ります。
 
  2007年6月1日に大分県で始まった全面禁煙は
  瞬く間に全国に広がり、今回の島根県は39番目、
  さらに残りの8道府県も禁煙化に向け調整中です。
 
  2001年に32.7%だった日本人の成人喫煙率は、
  2009年には24.9%まで減少していますが、
  健康増進政策の一環として有害な煙から
  人々の健康を守るため、今後も至る所で禁煙化が
  進んでいくのかもしれません。
 
  さて、煙と言えばこうしたネガティブな話題が多いのですが、
  今回は同じ煙でも有益な煙を使った
  「燻製」について調べてみました。

  燻製とは煙により食材の保存性を高め、
  特有の風味を持たせた保存食のことです。
  その起源は縄文時代まで遡るとも言われており、
  食材の保存方法として古くから利用されてきました。
 
  ベーコンやスモークサーモン、生ハム、鰹節など
  世界中で様々な製品が生まれています。
 
  サクラやナラ、ブナなど香りの良い木材を燃やした煙を
  食材に当てることで、煙に含まれるアルデヒド類や
  アセトン、酢酸といった殺菌成分が食材に浸透します。
 
  そして、殺菌、防腐効果を発すると共に
  風味までも添えて美味しい食品に仕上がります。

  また、腐敗の原因となる微生物が食材中で
  繁殖するためには、一定以上の水分が必要です。
 
  例えば、スーパーで買ってきた刺身を
  2~3日冷蔵庫に入れていたら、
  トレーに汁が溜まっていたことはありませんか。
 
  肉や魚などの新鮮な食材は、時間の経過と共に
  組織の分解が進み、壊れた細胞から
  水分が流れ出てしまいます。
 
  この水分を栄養にして微生物が繁殖するのです。
 
  長時間燻煙にさらすことで
  殺菌のみならず乾燥もできるため、
  微生物の繁殖を抑えることができるのです。

  同じ煙でも発生する場所や用途によっては、
  周囲に嫌な思いをさせてしまうことがあります。
 
  タバコに関して言うのであれば、現在ほとんどの施設や
  店舗で禁煙や分煙が進められていますが、
  一方的にダメと決めつけるのはよくありません。
 
  吸う人と吸わない人が共に気持ち良く過ごせる
  社会にしていくことが大切です。
 
  2日後の「世界禁煙デー」ではタバコについて、
  燻製をつまみに身近な人と意見交換をしてみるのも
  良いかもしれません。
 
  (あるる)