●飛べないペリカン
  4月20日、米国ルイジアナ州のメキシコ湾沖合80kmで操業していた、
  英国BP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」が爆発し、
  多数の死傷者が出ました。
 
  この事故でパイプは折れ、海底油田から大量の原油が
  メキシコ湾全体へと流出していることは皆様もご存知のことと思います。
 
  これまでの原油流出量は約3億3400万リットルと推計されています
  (6月16日時点)。
 
  これは、1989年にアラスカで起こった「エクソン・バルディーズ号座礁事故」
  (約4100万リットル)に比べ、約8倍の原油流出量になり、
  過去最悪の事故とみられています。

  そもそも、事故がここまで大きくなってしまった原因の一つに、
  事故への対応の悪さが挙げられます。
 
  今回、事故のあった原油流出源は水深が約1500mを超える海底で、
  ダイバーはもちろん、遠隔操作ロボットの操縦も極めて困難な状況でした。
 
  しかし、そんな困難な状況にも関わらず行われたのは、
  陸上や浅い海底では成功例があっても、
  今回のような深い海底では全く実績が無いという無謀な作戦だったのです。
 
  もちろん作戦はことごとく失敗に終わっております。

  また、対応の悪さは、流出阻止の失敗だけではありません。
 
  事故調査委員会によると、操業していたBP社を含む、
  作業を行っていた他2社は、事故の前から採掘施設と
  システムの危険性に気が付いておりながら、
  作業を継続していたことが明らかになっています。
 
  安全システムに複数の欠陥があったこと、そして、その警告を無視し、
  品質テストまで省略していたこと、
  さらには、採掘施設に支障があるにも関わらず管理当局側も
  ゴーサインを出していたこと等、二重、三重の規則を無視していたのです。

  現在、原油の流出距離は、2万4000平方キロメートルを超え、
  その距離は、中国地方をすっぽりと覆い、
  福岡、愛媛をも含む距離となっています。
 
  原油の回収作業はようやく軌道に乗り始めましたが、地元住民をはじめ、
  被害は人に自然に経済にと広範囲に及んでいるのは紛れもない事実です。
 
  リスクよりも利益に目を奪われた人間のエゴ。
 
  油にまみれて、羽根が茶色くなった飛べないペリカンを見ていると、
  原油の回収作業の他にも考え直す問題があるのではないでしょうか。
 
  (あるる)