木づかいの効果は、どれだけの人が知っているか 日本の森林で生産された木材を使うと…?
 
木づかい運動事務局では、国産材(=日本の森林で生産された木材)や国産材からできた木製品に関するアンケートを約1500人を対象に実施いたしました。その中で国産材を使うことのメリットをご存知か否かをお尋ねしてみました。
(アンケートの内容)
国産材を積極的に使うことについては、次のような効果(メリット)があるとされています。ご存知のものに◯、重要だと思われるもの一つに◎をつけてください。
1・日本の森林を守る
2・熱帯雨林等の海外の森林を守る
3・地球温暖化防止(大気中のCO2を固定する)
4・林業や地域経済が活性化される
5・どれも知らないが(上記の 1・2・3・4)が一番重要だと思う

一番知られているのは「日本の森林を守ること」

木づかい運動の大きな趣旨の一つです。1473人中、988人(=67.1%)の方より知っているとの回答をいただきました。
「木を使うこと」と「森を守る」ことは矛盾しているように見えますが、「木を使う」とは、原生林や貴重な天然林など保護すべき森林の木を伐って使うのではなく、使うために木を育てている森林(=人工林、育成林)の木を使うことです。
木を使うために育てている森林
保護すべき森林
森林には「使うために木を育てている森林」と国立公園の一部や世界遺産などのように「保護すべき森林」があります。この「保護すべき森林」は、国や地方公共団体により、現在しっかりと監視・管理され、美しい景観とともに私たちに恩恵を与えてくれます。

荒廃が目立つ日本の森林

しかし、日本の森林の4割を占める「使うべき木を育てている森林」は、十分に管理されているとは言いがたい現状にあり、荒廃が目立つようになりました。この理由の一つは、海外からの輸入材が増え、日本の木(=国産材)の利用量が減ったためです。つまり、使うべき森林を育てても売れないため、間伐等の手入れをしても費用がかかり、採算がとれないのです。人の手が入らなくなった人工林等の森林は、手入れされない田畑と同じように荒廃してしまうのです。
これを打開するためには、日本の木をもっと使うこと。木材需要の相当量をまかなうほどの森林資源が日本にはあります。日本の木が使われるようになれば、日本の森林を育てる資金が山に還元され、健全な森林が育成される(荒廃から守る)ことになるのです。同時に、林業や地域経済の活性化(上記のアンケートの回答番号4)にもつながることになります。
 

知られていないのは「熱帯雨林を守ること」

日本の木を使うと海外の森林を守ることにつながることを知っていると回答された方は543人(=36.9%)です。このアンケートでは、最も少ない回答数でした。
日本の木材利用量のうち、7割以上は外国産の木材です。一度に大量の木材が安定的に入手できるので、製紙、製材、合板、住宅、家具メーカー等、木材を大量に使う会社にとっては効率がよいのです。その結果、昭和30年頃には、ほぼ100%であった木材の自給率が、現在は3割以下になってしまいました。

インドネシア・ボルネオ森林破壊
(写真:IPA情報処理推進機構

ところが、実際に輸入される木材は、どんな場所から、どのように伐採したのかがわからない場合が少なくありません。商業目的で違法に伐採された木材の可能性も指摘されており、日本と木材貿易の上で関係の深いインドネシアでは、森林伐採の違法性の割合が50%を超えているという報告もあります。結果として、東南アジアや南米等で森林破壊が進み熱帯林等の減少が目立っています。
これらを改善するために、輸入材は、適切な森林から合法的に伐採されたことが証明されたもの(=トレサビリティーが明らかな木材)を使うことが重要です。そして、国産材と輸入材で相補うようにすれば、海外の森林を守ることになるのです。
 

重要度では「地球温暖化防止」

4つのメリットの中で重要だと思うものをお尋ねしました。

 
最も多かったのは「地球温暖化防止(CO2の固定)」でした。森林の木々は光合成により、大気中の二酸化炭素を吸収し、幹や枝、根など樹体をつくります。そのときに吸収した二酸化炭素は、木材になってもそのまま炭素の形で材の中に固定され残されています。そのため「木材は(二酸化)炭素の缶詰」と言われます。例えば、住宅をつくるために成熟した木を伐採し、そこに苗木を植えれば、二酸化炭素を吸収、固定します。すると、住宅で固定し、森林では吸収するようになるため、単純に考えれば2倍のCO2削減効果があるわけです。そのため、木造住宅は「第2の森林」と呼ばれます。
 
■アンケート結果…回答者数1473人
1.日本の森林を守る=988人(67.1%) 2.熱帯雨林等の海外の森林を守る=543人(36.9%) 3.地球温暖化防止(CO2を固定する)=727人(49.4%) 4.林業や地域経済の活性化=826人(56.1%) 5.どれも知らない=61人(4.1%)/エコライフ2010、東京大学5月祭、グリーンリバー・アート2010のイベント会場にてアンケートを実施(2010年5月~6月)
 (木づかい友の会通信〔第42号〕)