●資源の掘り起こし

  来年7月24日、テレビ放送はアナログから、地上デジタル放送に移行します。
 
  それに伴い、テレビの買い替えやチューナー、アンテナなどの購入で
  地デジ化特需が生まれました。
 
  この地デジ化特需、来年7月の移行後に消滅しますが、
  12月には新たな地デジ化によるビジネスチャンスが生まれそうです。
 
  そのチャンスとは「ホワイトスペース」の活用です。
 
  ホワイトスペースとは電波の空き周波数の総称ですが、
  テレビ放送が地上デジタルに移行することで、使えるホワイトスペースが増えるため、
  これを有効に活用しようという動きが出てきています。

  ホワイトスペースの本格的な活用は、新たな電波割り当てが決まる
  来年12月以降に始まります。
 
  総務省の発表によりますと、ホワイトスペースを利用したビジネスモデルの
  公開ヒアリングへの参加者は延べ400人にのぼったそうで、
  ビジネスチャンスとしての注目の高さが分かります。
 
  また、その利用方法も多岐に渡っています。
 
  まず、商店街などではリアルタイムセールや限定広告などの情報提供による販売促進、
  観光地では観光スポットやイベント情報を配信することによる集客、
  大学では休講情報などの学生に必要な情報を配信することによる経費の削減、
  などが挙げられています。
 
  電波の受信機には、昨年末時点で7500万台も普及している
  ワンセグ携帯電話が利用されるため、普及に要するコストは少ないと言えます。

  米国では一昨年3月より、グーグル、マイクロソフトなどが
  新たなビジネスチャンスとして捉えており、
  ホワイトスペースの活用による経済効果は
  585億(約4兆9000億円)~1095億ドル(約9兆2000億円)と試算されています。
 
  日本でも大きな経済効果が期待されることから、ホワイトスペースの研究開発、
  実証実験を行うために「ホワイトスペース特区」が設けられ、
  総務省はこのホワイトスペース特区にサッカーJリーグの湘南ベルマーレや
  TBSテレビ、宮城県栗原市などを先行モデル対象者に選んでいます。

  ホワイトスペースの活用は、空きスペースから
  携帯電話に情報を送るビジネスですので初期投資は抑えられそうです。
 
  ただし、電波は限られた範囲内にしか届きませんので、
  狭い範囲で集中して効果を上げるビジネスに特化する必要がありそうです。
 
  1年半後、ホワイトスペースから携帯電話に
  どのようなローカル情報が流れてくるか楽しみです。
 
  (あるる)