●紙の利用は環境破壊?
  木材から作られる紙
 
 
  木材は「エコマテリアル(エコ素材)」と呼ばれますが、そのひとつの理由として、
  リサイクル性が挙げられます。
 
  住宅を解体しても、柱、梁などは再利用できますし、内装材等も細かくして、
  燃料やパルプ(紙の原料)として使えます。
 
  また、原木から建築材として加工して残った「端材(はざい)」や「背板(せいた)」
  と呼ばれる部分も割り箸やパルプ等として生まれ変わり利用されます。
 
  今回は「紙」がテーマです。
 

日本の木材利用量の4割は紙、紙は身近な存在

  ノートやコピー用紙をはじめ、書籍、新聞用紙、段ボール、ティッシュペーパー、
  トイレットペーパーなど、私たちの身の回りには、紙があふれています。
 
  紙は木からできていますが、実感できない方も多いのではないでしょうか。
 
  しかし、日本の木材需要量の約4割は紙・板紙用。
 
  つまり、紙や段ボール等を作るために使われています。
 

ペーパーレスは、森林を守る!?

  「ペーパーレス」という言葉があります。
 
  オフィスなどで使うさまざまな書類を、
  紙を使わずにデジタル化(電子化)してしまおうというものです。
 
  情報量が多い今の時代に紙面のみで情報を扱うことは大変なことですが、
  電子化して管理すれば、目的の書類をすぐに取り出すことができ、
  仕事の効率が非常によくなります。
 
  ところで「ペーパーレス=森林を守る」とつなげてしまいがちですが、
  これは必ずしも直結しないようです。
 
  紙は、本来は捨てられる端材(建築材の余った部分)や
  建築不適材(低質材)、間伐材、使用済みの割り箸なども有効活用して作られるため、
  紙を使うことが即、森林減少・森林破壊の問題とは直接的にはつながらないようです。
 

紙がリサイクルできる理由

紙は繊維が絡まって
できている

  木材をチップにして、さらに、繊維レベルまでほぐしたものがパルプです。
 
  この繊維の正体はセルロースで、肉眼では認識できないほど細長く糸状になっています。
 
  紙はこの繊維が無数に集まって、お互いに絡まってできています。
 
  木材から繊維をほぐして取り出すときには、黒液と呼ばれる廃液がでますが、
  最近では、これを燃料として使っており、製紙工場のエネルギーの3分の1をまかなっています。
 
  繊維(セルロース)は丈夫なため、紙として使った後も、しっかり残っています。
 
  そして紙からもう一度、繊維を取り出して絡めれば、再生紙ができます。
 
  現在の紙の原料の6割は古紙(リサイクル)です。
 
  ただし、いくら丈夫な繊維でも何回も使うと繊維が短くなり、表面もすり減ってなめらかになり、
  繊維がお互いに絡みにくくなるので、リサイクルには限界があります。
 
 

リサイクルできる紙、できない紙

  紙の本体である繊維が劣化しないうちは、紙はリサイクルが可能ですが、
  すべての紙をリサイクルすることはできません。
 
  回収が難しい紙があるからです。
 
  例えば、ティッシュペーパーやトイレットペーパーは分別・回収が不可能でしょう。
 
  再利用を進めていくためには、より多くの人たちが新聞や雑誌、牛乳パックなど
  分別しやすいものをきちんと分別して、回収を促進することが必要です。
 

オフィスで大量に排出されるシュレッダー紙は?

  シュレッダーは、ほとんどのオフィスで使われています。
 
  今は、情報管理が重要である時代であるため、企業の信用を失わないためには、
  シュレッダー不可欠な存在です。
 
  シュレッダー紙は細かく分断されるため、繊維が短くなり、再利用できないとよく言われます。
 
  しかし、裁断した紙の長さが5mm程度であれば、リサイクルの可能性があります。
 
  木材のセルロース、つまり繊維の長さは、1mm~6mm程度だからです。
 
  むしろ、シュレッダー紙は、かさばるため、運送コストやストックヤード(保管場所)の問題があり
  再利用が進まないというのが現状でしょう。
 
  紙もリサイクルして、最後には燃やされます。
 
  燃やしたあとにはCO2が出ますが、そのCO2は
  「木が光合成をして成長するためのCO2として吸収する」という考え方ができます。
 
  つまり、「大気中のCO2→木の幹→木材→紙→燃やして大気中へ」というルートで考えれば、
  大気中のCO2は循環しているだけで、増えも減りもしません。
 
  この考え方を「カーボンニュートラル」といいます。
 
  木材は、紙になってもカーボンニュートラルの特性を持ち、
  リサイクルも可能なエコ素材なのです。
 
  (木づかい友の会通信)