●世界にひとつだけの

  長く使うほど独特の趣が出て愛着のわく革製品ですが、その歴史は非常に古く、
  50万年前、すでに防寒や保護のために使われていました。
 
  現在では、ジャケット、鞄、財布などに幅広く加工され、革本来の用途である
  防寒や保護以外で用いられることのほうが多くなっており、
  アクセサリーとしての革製品もあります。
 
  革のアクセサリーは、細く裁断して表面に模様をかたどったり、編み込んだりと、
  その製造には職人の技術や機械が不可欠でした。
 
  しかし、「革粘土」の登場によって、牛革製の世界にひとつだけのアクセサリーを
  素人でも作られるようになり、人気となっています。

  革粘土は、革を裁断する際に出る粉末(レザーパウダー)や、
  端切れの革を粉砕したものを練り上げて固め、粘土状にしたものです。
 
  革の粉末なので軽く、粘土の中で繊維が絡まっているため、とても丈夫な素材です。
 
  常温で固まりますが、固まるとゴムのような弾力や、しなやかさがあり、
  革製品本来の魅力はそのままです。
 
  制作には高度な技術は必要なく、失敗してもやり直しが可能なため、
  初めての方でもブレスレットやピアス等のアクセサリー、
  携帯ストラップなどを簡単に作られるそうです。

  作り方は、まず粘土を丸い棒で5mm程度の厚さに伸ばします。
 
  厚さが均等になったらはさみで切ったり、手でちぎって丸めたり、
  クッキーの抜き型で抜いたりして、好みの形に成形します。
 
  形を作った後はビニールの上で2~3日乾燥させます。
 
  乾燥後は、金や銀粉、ビーズやラメ、螺鈿(らでん)、和紙などを用いて
  装飾することで、オリジナルなデザインに仕上げることが出来ます。

  革を加工する際に出るレザーパウダーはゴミとして廃棄されていましたが、
  革粘土の原料はこのレザーパウダーですので、環境にやさしい粘土と言えます。
 
  今回の革粘土は実際に食べることは出来ませんが、
  制作途中にお菓子作りのような工程もあり、女性から特に人気を集めています。
 
  また、自分流を取り入れたいという若者や、
  手先を使って造形を楽しみたい高齢者に至るまで、愛好者は今後も増えそうです。
 
  革粘土は、遊び道具として、お洒落の道具として、そして芸術としての
  可能性を秘めているように思います。
 
  (あるる)