木のある暮らしと私 5. ホンモノの木に目覚めたわが家 山口みかんさん(東京都)
 
  10年に及ぶ賃貸生活にピリオドを打ち、わが家も昨年念願のマイホームを購入した。
 
  とはいえ、わが家の経済力では都内に満足のゆく一戸建ては望むべくもなく、
  鉄筋コンクリートのマンションが精一杯。
 
  それでも夢のマイホーム、せめてオプション部分ではこだわりを……と、
  3LDKのすべての部屋の壁に新建材『呼吸する壁』というのを貼り付けた。
 
  その前に借りていた部屋は結露がすごかったのだ。
 
  この『呼吸する壁』は、セラミック素材で出来ていて、
  湿度調節をしてくれるうえ悪臭、有害物質なども吸着してくれるという優れもの。
 
  おまけにデザイン、色、柄も豊富で、お気に入りを選りすぐり、
  なかなか素敵なお部屋になったと満足していた。
 
  メーカーの謳い文句どおり、部屋の中はいつもサラッとしているし、
  ホルムアルデヒト臭もない。
 
  ところがこの新建材、困ったことがひとつ。
 
  それは硬いこと。絵の一枚も飾りたいと思っても釘が打てない。
 
  子供が走り回って壁にぶつかった拍子に怪我をしたときには、
  さすがにちょっと考えてしまった。
 
  無垢の木材に調湿作用があり、有害物質などの吸着機能もあると知ったのは、
  それからしばらく経ってからのことだった。
 
  新建材に頼らなくても、木材こそ「呼吸する壁」だったのね。
 
  もっと早く知っていれば、というか、マンションのビルト・イン・オプションの
  カタログの中に「木壁」という選択肢があれば迷わずそっちを選んだのに、残念。
 
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  そう思って改めてうちの中を見渡してみると、無垢の木なんてひとつもない。ということで、
  今年入学した下の子のために、秋田杉でできた学習机を購入した。
 
  届いた机は思いのほか軽く驚いた。
 
  それに、針葉樹の肌当たりがこれほど柔らかいとは知らなかった。
 
  買ってそろそろ半年になるが、いまだに木の香りが部屋いっぱいにあふれている。
 
  届いたばかりの頃は白かった色が、段々赤茶けてきたのもなんともいえず味わい深いし、
  手触りの心地よさといったらない。
 
  「木の温もり」ってこういうことなんだなあと思う。
 
  これも机が呼吸しているから?
 
  隣にお姉ちゃんの学習机があるが、こちらは何のこだわりもなく買った木製机。
 
  天板はなにでできているのだろう。
 
  こうしてふたつ並んだ机を見ていると、お姉ちゃんの机は
  「これはいったい"木製"といえるのかな」と疑問に思えてくる。
 
  ひとつホンモノをもつと、ニセモノが何かがよくみえてくる。
 
  以来、子供のおもちゃを買うときも、まな板を買い換えるときも、無垢の木にこだわっている。
 
  これからはわが家にも少しずつホンモノが増えてくるだろう。
 
  そしていつか、この部屋をリフォームするときは
  「呼吸する木壁」に囲まれた部屋に住みたいなと密かに思っている。
 
  (木づかい.com)