森林のことをもっと知ろう!森林に親しもう!2011年は「国際森林年」

そもそも「国際森林年」とは?

   今年の国際森林年は、2006年に国連総会で定められたものです。
 
   目的は世界の人々に、森林の持つ価値を見直しつつ、森林を未来に残せるよう、
   森林の保全や管理、開発に関して、意識を高めてもらうことです。
 
 
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世界の陸地面積のうち3割が森林
(写真は世界一の森林大国フィンランド。国土の74%を森林が占めている)
 

森林の持つ価値とは

   文明が始まった当初より、森林は人類にとって欠かせないものであり、
   私たちは、今も森林からさまざまな恩恵を受けています。
 
   みなさんは、森林から受けている恩恵を感じますか?
 
   あまり感じないという方は、森林が世界中からなくなったら、
   どうなるか考えていただくと実感がわくかも知れません。
 
   例えば、世界の森林がなくなったらという想定に対して、
   次のような答えが考えられます。
 
   「森林で生活するたくさんの動物・植物が生息の場所を失う」
   「山崩れ、洪水などの災害が頻繁に起こる」
   「土砂が流出して海や川などにすむ生き物が生きられなくなる」
   「世界中が砂漠のようになる」
   「CO2の吸収源がなくなり地球温暖化が一段と進む」
   「食物連鎖の生産者・植物が少なくなり、人間など高次消費者を支えられなくなる」
   「台風、大雪、熱波、寒波など激しい気象現象が起こりやすくなる」
   「降水が浄化されず、おいしい水が飲めなくなる」
   「人間の生活に不可欠な資材である木材が生産できなくなる」…など

   世代や立場によりさまざまな答えがあると思いますが、
   いずれにしても森林は私たちが生活する環境を
   整えてくれていることがわかると思います。
 
   さらに考えを突き詰めていくと結局「森林がなければ、
   私たち人間も生きていけなくなる。」という結論になると思います。

   日本学術会議で、日本の森林の持つ価値を貨幣換算したところ、
   1年間で70兆円以上。日本の年間国家予算に近い額になります。
 
   森林の持つ価値を見直し、未来の世代のためにも、
   大切な森林を残せるよう、人々の意識を高める
   きっかけづくりのために定められたのが「国際森林年」です。
 
   今年は世界各地で、森林減少・森林の劣化防止などの事業が
   実施される他、植樹・森林祭・スポーツ大会などのイベントが予定されています。
 

 

国際森林年のシンボルマークは「人々のための森林」

   こちらが国際森林年のシンボルマークです。 何が象徴されているかわかりますか?
 
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   まず、ロゴマークの中心に人間が描かれています。
 
   これは未来に残せる森林の保全や管理、開発は
   人間が中心的な役割を担っており、
   森林を生かすのは人間次第ということを象徴しています。
 
   そして、森林によってもたらされる恩恵が
   人間のまわり(360度)に描かれています。
 
  ・【家】
    =森林は人々に住環境を提供し、保護を与えてくれること。
  ・【動物】
    カモシカ(ほ乳類)、カモ(鳥類)、イモリ(は虫類)、葉(植物)
    =森林は、多様な生物の住処となること。
  ・【りんごと薬のビン】
    =森林は食料と医療品の源であること。
  ・【川】
    =森林は生命に必要な水を供給するとともに、
    雨水や雪解け水を蓄え、洪水を防いでくれること。
  ・【雲と雨】
    =森林が地球温暖化やハリケーン、猛暑、大干ばつなどの
    異常気象を緩和し、安定した気候を維持してくれること。
    森林の木々は、CO2を吸収したり、
    土壌に蓄えられている水を根から吸い上げ、
    蒸気として空気中放出しています。
    このため急激な気象変動を緩和してくれます。

日本のテーマは「森を歩く」、願いは「木づかい」

   平成22年12月16日に、第1回 国際森林年 国内委員会が開催されました。
 
   委員は、草野 満代さん、坂本龍一さん、沼田早苗さん、
   養老孟司さん、C.W.ニコルさんなど各分野のスペシャリスト14名。
 
   そうそうたるメンバーで議論が交わされました。
 
   その結果を受けて、農林水産省では「国際森林年のテーマ」
   次のようにテーマを決定いたしました。


「森を歩く」
~未来に向かって日本の森を活かそう~
~森林・林業再生元年~

   農林水産省によると「このテーマには、国民の皆さんに、
   森林への理解を深める入り口としていただくとともに、
   暮らしの中に森林や木材を取り入れていただけるように
   との期待も込められています。」とのこと。
 
   つまり「木づかい」への期待が込められています。
 
   (木づかい友の会通信)