●一時的ではない

  「最近の食品価格の高騰は一時的なのか、そうではないのか」。
 
  これは、先週閉幕したG20の議論の口火を切ることになった言葉です。
 
  食料高騰によるインフレ懸念を各国ともに認めるものの、
  G20の共同声明は「作業部会の設置で価格高騰の要因を探る」
  という悠長なものとなりました。
 
  食料価格の高騰について、
  新興国側は先進国の量的緩和が原因と先進国を非難し、
  先進国側は新興国の需要の増加が主因とし、
  双方の意見が対立しているため、
  成果というには厳しいG20の結果でした。

  価格高騰が顕著になった昨年5~7月以降、
  砂糖は約2.5倍、コーヒーで約2.1倍、コーンで約2.1倍、
  小麦で約2.0倍の価格上昇となっています(米国市場)。
 
  国内でも食料高の影響が店頭価格に反映されはじめ、
  日本経済新聞社の調査によりますと、
  昨年10月から今年1月にかけて食品・日用品60品目のうち、
  6割以上が値上がりしています。
 
  大半の品目の値上がり率が3~10%台なのに対し、
  原料となる食料価格が2倍を超えていることを考えますと、
  店頭価格の値上がりは今後も続くと考えるのが妥当かと思います。
 
  また、食料以外の商品も、綿花で約2.8倍、
  ゴムで約2.1倍、原油で約1.5倍となっています。

  新興国は価格高騰の原因を量的緩和としていますが、
  価格が高騰している商品の大口の買い手が
  中国であることは厳然たる事実です。
 
  その中国にとって、世界中に飛び火している
  反政府デモは対岸の火事ではありません。
 
  先週、インドで食料価格高騰への対策を求める
  6万人規模のデモが起こりましたが、
  もし中国で同様のデモが起これば、
  そのデモが民主化要求デモに化ける可能性は十分にあります。
 
  そのため、中国は穀物輸入を更に増やし、
  国内の食料価格を抑えようとすると思います。
 
  すでに、中国では国内のインフレを抑制すべく、
  食料を含めた幅広い物品に対する輸入税の
  引き下げを検討しているようです。
 
  実際に引き下げられれば、
  既に3年前から輸入量が約25倍に膨れ上がったコーンなどを筆頭に、
  世界中の食料・資源が中国に飲み込まれます。

  現在、米国のコーン在庫は過去最低の5%、
  同様に中国のコーン在庫も価格抑制を目的とした
  政府の在庫放出により、通常30%の在庫率が5%に落ち込んでいます。
  中国の食欲を満たす余力を世界は持ちません。
 
  更に、今は未曾有の金融緩和状態にありますが、
  これは人為的なインフレによって景気回復をさせると言う政策です。
 
  冒頭の質問に対する回答は「一時的ではない」、だと思います。
 
  (あるる)