●バフェット氏は語る

  内閣府の「企業行動に関するアンケート調査」によると、
  10年度における日本の輸出企業の採算為替レートは
  1ドル86円30銭となっています。
 
  09年度は92円90銭でしたので、1年間で約6円、
  円高への抵抗力が増したことになります。
 
  しかし、今月11日に「東日本大震災」が起こり、一気に円高が進み、
  17日には1ドル76円25銭と史上最高値を更新しましたが、
  これは企業の採算レートを10円も上回る円高です。
 
  翌日、G7各国が緊急の電話会合を行い、
  協調介入を実施することで合意し、円売り介入が実施されて
  円高は一服し、81円前後で推移しています。

  震災直後の円高は、阪神大震災時の連想から、
  保険会社が保険金払いのために海外へ投資していた資金を
  自国に戻すレパトリエーションが原因との説が飛び交いました。
 
  もちろん、一因であるとは思いますが、損保業界は
  個人に支払う地震保険の支払い額は約1兆円と試算しています。
 
  米災害リスク評価会社も最大で1兆2000億円、
  ゴールドマン・サックスも最大で8610億円と、
  損保業界の見通しとほぼ一致しています。
 
  つまり、日々、約5兆ドル(約400兆円)が動く
  為替市場の規模から判断すると、今回の円高は
  レパトリエーションが主因ではないと容易に想像できます。
 
  同様に、国内の機関投資家によるレパトリエーションとの説もありますが、
  そもそも日本の為替市場における取引額は
  外国為替市場全体の僅か6%です。
 
  つまり、主因は為替市場全体の約8割に上る投機筋と予想され、
  日本政府も「投機的」である確率が高いと判断しています。

  今の日本にとって、円高は不安要素です。
 
  しかし、今回の円高が投機筋の思惑による一時的なオーバーシュート、
  単なる行き過ぎならば、不安要素は消えます。
 
  むしろ、協調介入の合意だけに留まらず、日銀が資金供給するなど、
  本来であれば円安する環境となっています。
 
  日本企業の円高への抵抗力が高まっていることを考えると、
  円安という追い風が吹けば、日本経済の回復スピードは
  想定以上のものになることが期待されます。
 
  今月、初来日の予定だったウォーレン・バフェット氏ですが、
  残念ながら震災の影響により中止となりました。
 
  しかし、韓国での式典でこう語っています。
 
  「震災が日本と日本経済の未来を変えることはない。
  自分が日本株を保有していたら売ることはしないだろう。
  むしろ買いの機会だ」と。
 
  (あるる)