●感謝の心をこめて

  高層のビルやマンションが立ち並び、
  近代的なデザインの建築物が都会をスタイリッシュに彩っています。
 
  そんな中、昔ながらの日本家屋が見られる場所は限られてきていますが、
  ふと見かけた時に心が安らぐのは、
  私たちに残る和の心がそうさせるのでしょうか。
 
  今回注目した「こて絵」はそんな日本家屋に描かれた、
  日本の職人達の心意気から生まれた芸術です。

  こて絵とは、左官職人が壁を塗る「こて」で
  風景や肖像などの絵を描いたもので、
  漆喰で作られる浮き彫り細工です。
 
  古くは高松塚古墳や法隆寺金堂の壁画にも描かれておりました。
 
  江戸時代から徐々に民家でも見られるようになり、
  家屋の壁や妻飾り、窓枠などにも描かれるようになりました。
 
  絵柄は家の主人が描かせたものもありますが、
  多くの場合は左官職人が施主に対して仕事をさせてもらったお礼に、
  自分が手がけた証として、その家の幸せや繁栄を願って
  描かれたものが多いようです。

  こて絵の絵柄には様々な種類があり、代表的なものでいえば、
  龍は水の神様として火事除けのシンボル、獅子は悪魔払い、
  鶴と亀は長寿の象徴、恵比寿様と大黒様は商売繁盛や富と財産、
  鯉の滝登りは立身出世を祈って描かれていました。
 
  その後、家だけでなくお店の看板などにも描かれるようになりました。
 
  現在、こて絵は全国で約3000ヶ所に残っていますが、
  その内の1000ヶ所は大分県に集まり、600ヶ所で見学が出来るようです。

  私どもがお会いさせて頂く方々のお話を伺っていると、
  仕事はもちろん遊びも大切にされているという方が多いように感じます。
 
  遊び心から新たな発想や仕事へのヒントが生まれ成長へと繋がるのなら、
  遊び心は大切なことかもしれません。
 
  こて絵は、職人の施主への感謝の気持ちや遊び心から生まれました。
 
  (あるる)