●パーとグーがあいこになる?
  温暖化防止を目的とした「京都議定書」、発効したものの、
  期間の短さや参加国の少なさから効果は限定的とされます。
 
  温暖化防止にはCO2など温室効果ガスの排出削減が重要ですので、
  CO2を吸収する森林を増やす必要がありますが、
  伐採は年々進んでいます。
 
  この伐採される木材、およそ半分が製紙用です。
 
  西暦105年、中国で「蔡候紙」が発明されて以来、
  植物繊維を水に薄めて漉くことで製紙が行われてきましたが、
  製紙に木材を使用するという既成概念を打ち破った紙をご存知でしょうか。

  その紙は石から生まれたストーンペーパーです。
 
  世界に広く分布している石灰石の粉末に、
  ポリエチレン樹脂、紫外線遮断剤を加えて作られます。
 
  紙1トンの製造に木材は約4トン必要とされますので、
  ストーンペーパーは大幅に森林伐採を抑える可能性を持ちます。
 
  また、燃焼時のCO2排出量は30~50%減、
  そしてパルプ製紙は紙の漂白に水を使用するため
  水質汚染の危険性が高まりますが、
  ストーンペーパーは原料の白色度が高く、漂白剤が必要ないため、
  水資源の保護にもつながります。

  ストーンペーパーは原料が石のため、
  水に濡れても破れにくいという特性を持ちます。
 
  その特性から、ゴルフのスコアカード、屋外ポスター、
  ショッピングバッグに用いられています。
 
  また、エコの観点から名刺や企業の環境報告書等にも使われています。
 
  当初、印刷適性は良くなかったそうですが、改良が進み、
  現在ではカラー印刷も問題ないレベルになっているそうです。
 
  しかし、高温に弱いため、レーザーやトナー形式のコピー機は通せません。
 
  インクジェット印刷には、インクジェット用加工を施した製品を
  選ぶ必要があるなど、普及への課題はあります。

  課題はありながらもストーンペーパーは世界40カ国以上で特許が取得され、
  環境に対する意識が高い企業や、耐水性に優れているため、
  水を使う現場で印刷物が必要な企業からの注目度が高いようです。
 
  今後、課題をクリアしていくと、環境への優しさから、
  用途は増えていくことになりそうです。
 
  名刺や広告などをストーンペーパーにすると付加価値が高まり、
  話題性のあるビジネスツールになり得るのではないでしょうか。
 
  (あるる)