●シナんの業

  「8000万人」――この1年で増加した世界人口です。
 
  総務省統計局刊行,総務省統計研修所編集「世界の統計2011」によると、
  2010年の世界人口は69億900万人で、70億人到達は目前です。
 
  その5分の1、13億人を抱える中国も毎年800万人増えています。
 
  増えているのは人口だけでなく、国内総生産は日本を抜いて世界第2位に躍進、
  そして2020年には米国を抜いて世界一になると予測している
  英国の銀行もあるほどです。
 
  今の中国を見ていますと、戦後、欧米を追いかけた
  日本の高度成長期を彷彿とさせますが、
  日本が成長した速度よりも格段に速く、大きく成長を遂げています。
 
  ただ、成長に伴い歪みも目立ち始めています。

  そもそも国の運営は、政治を司る政府と
  経済を安定させる中央銀行が主体で行いますが、
  政府も中央銀行も経済成長期に必ず起こる物価上昇に悩まされています。
 
  一党独裁と物価上昇、この二つの要素から起こることがあります。
 
  古今東西、政権交代、革命の多くは、
  物価高騰と独裁への不満が原動力で起きています。
 
  中国四千年の歴史もそれの繰り返しですので、
  中国の政府首脳は重々理解しており、対策を講じて動いています。

  現在の中国の物価高対策、ひとつは「利上げ」です。
 
  預金を促すことで市場に溢れた資金を銀行に戻す効果が期待され、
  併せて過剰な投資を抑えられます。
 
  政策金利である1年物貸出基準金利は6.31%と、
  金融危機前の7%台に迫るほどです。
 
  そしてもうひとつが「元高誘導」です。
 
  通貨価値が高くなれば、当然のことながら物価は下がります。
 
  通貨安は貿易黒字につながることから、
  中国は流入する外貨(主にドル)を買い、自国通貨の元を売る
  為替介入を繰り返し、意図的に元を安くしていました。
 
  アメリカなどの反対により2005年以降段階的な切り上げを
  行ってきたものの、金融危機以降、1ドル=6.8元に
  再び固定していました。
 
  その後、物価上昇が顕著になってきたため、
  2010年からは元高誘導を再開しています。

  中国経済が鈍化すれば、世界経済に多大な影響を及ぼしますので、
  過度の金融引き締めは避けなければなりません。
 
  反対に緩め過ぎれば今以上の物価上昇は必至です。
  進行する物価高騰に合わせて「利上げ」と「元の弾力化」を上手く行使し、
  ちょうどいいポイントに軟着陸できるかどうか、中国にとって至難の業です。
 
  ギリシャ問題に隠れがちですが、眠れる獅子の動向にも要注意です。
 
  (あるる)