●形無き誇り
  米を中心に豆、魚、海藻、野菜など多くの海の幸・山の幸を使った
  日本の食文化は、長寿食・健康食として世界中から注目を集めています。
 
  農林水産省は、日本の食文化を「世界無形遺産」に登録するために、
  来年3月の検討会への申請を目指す方針であると発表しました。
 
  世界無形遺産は、形にならない知識や慣習などの文化が対象で、
  日本からはこれまでに歌舞伎や能楽など18件が登録されています。
 
  食文化としては既にフランスやスペインが登録されております。

  世界最古級の土器は青森県で出土しており、
  約一万七千年前の物と推定されています。
 
  その土器には煮炊きに使った痕跡があり、
  これは他国に比べて数千年も早いそうです。
 
  また、大陸から伝わった食文化に日本の気候風土を取り入れ、
  渡来した食文化とは異なる日本独自の食文化を作り出しました。
 
  独自の食文化の成立には、日本の四季が大きく関わっています。
 
  季節ごとに採れる旬のものを、素材を活かした調理方法で調理する
  技術が発達し、美味しさとともに、料理それぞれに意味を持たせた
  食文化となっています。
 
  また、味わいのある食器に美しく盛り付けられた食事は、
  五感で楽しめます。

  1950年代、日本の高度成長が始まり、海外では“現地の日本人向け”の
  「ジャパニーズレストラン」が作られ始めました。
 
  1970年ごろにアメリカで健康への関心が高まったことから、
  映画俳優などが日本食に注目し始めたこともあり、
  「スシ」などを中心にブームとなりました。
 
  しかし、海外の「ジャパニーズレストラン」の経営者やシェフは
  現地の人々が大半を占めており、技術が正確に伝わっていない
  ことがあるため、質の低下が問題になっています。
 
  無形遺産への登録が、ジャパニーズレストランの
  質の向上に繋がればと思います。

  「いただきます」は「命を頂きます」が語源となっているそうです。
 
  また、神嘗祭、新嘗祭にあるように、稲作も神事でした。
 
  自然の恵みに感謝し、食事を「神」とともに考えるという感性が
  日本人の根底にあったために、日本食が繊細で奥深く、
  世界に誇れる文化になり得たのではないでしょうか。
 
  順調に行き、申請が通れば2013年には日本の食文化が
  世界無形遺産に登録されます。
 
  そのころには、原発事故によって失った日本への信頼、
  食の信頼を取り戻しておきたいものです。
 
  (あるる)