●人と火と
  陰暦では昨日(11/25)から11月です。
 
  京阪地方で陰暦11月は、火にまつわる行事が増える時期です。
 
  特にこの地方を中心に行われる「お火焚」は11月の季語でもあり、
  宮中の行事である新嘗祭が庶民に伝わったものだそうです。
 
  お火焚は火を焚いて心身を清め、豊穣や無病息災を願う行事です。

  火は人々の生活にとって欠かせぬものであり、
  はるか昔から人は火と共に暮らしてきました。
 
  火の傍には集団ができ、人々が生活を営むことから、
  「家族」という言葉と「火」は大きく関わりがあるようです。
 
  古代ギリシャ語の「家族」は「かまどの傍らなるもの」という意味を持ち、
  ヒンドゥー語圏やモンゴル語の「家族」は「かまど」を意味し、
  フランス、イタリアの古語では、「火」が「家族」を表すそうです。
  人々が集い、物を生み出し、命を繋ぐ火は、古来より崇められ、
  今日においても豊穣を願う祈りの火として使用されています。

  さて、豊穣を願うこの時期に嬉しいニュースがありました。
 
  先日、日本中央酒造組合中央会より、東日本大震災で被災した
  東北3県で4~9月期の日本酒の出荷量が増加しているという
  ニュースが伝えられたのです。
 
  宮城県で前年同期より39%増、岩手県で17%増、福島県で9%増
  とのことです。
 
  毎年出荷量が減少傾向にあったことから見ると、
  この急回復は驚くべきことです。
 
  背景にあるのは被災地への復興支援で、
  大手居酒屋チェーン店が東北産の商品の取り扱いを増やすなど、
  各地での取り組みが出荷量に反映されたと言われます。

  農業に関連して、コメの風評被害やTPP問題など
  混沌としたニュースが多い中、温かい灯火のような知らせです。
 
  今年のお火焚の祈りは、京阪から東北、
  そして日本各地へと届けられ、豊穣をもたらすと共に、
  温かく日本を照らす灯火であって欲しいものです。
 
  根拠のない噂だけが、風に乗って飛び火せぬことを願います。
 
  (あるる)