●鉄の記念日

  旧暦安政4年の12月1日、現在の岩手県釜石に
  大島高任(たかとう)の姿がありました。
 
  厳冬のみちのくで、寒さなど忘れて炉から出たばかりの鉄に
  熱い視線を送っていたのでしょう。
 
  大島は、それまで日本で主流だった砂鉄ではなく鉄鉱石を使い、
  高品質の鉄を大量生産するためオランダの技術書を元に
  釜石に洋式高炉を築きました。
 
  そこで初めて鉄が作られたこの日を記念し、
  12月1日は「鉄の記念日」に制定されています。
 
  と言うことで本日は鉄に関する話題を中心にお送りいたします。

  鉄は紀元前より農耕器具や武器に用いられており、
  産業革命以降その利用価値はより大きくなりました。
 
  「鉄は国家なり」とも言われ、鉄鋼の生産量が
  国力の指標ともなりました。
 
  2010年における世界の粗鋼生産量は約14億トンで、
  第1位の中国が6億トン余り、第2位が日本で1億トンほど、
  第3位がアメリカで8000万トンほどですから、
  中国の生産量は圧倒的です。
 
  ただ、日本の鉄鋼製品は、強い、精度が高い、割れ難い、
  溶接しやすいなどの優れた特性を持っています。
 
  中でも自動車に使われている高張力鋼板(ハイテン)を作る技術は
  世界トップクラスです。
 
  こうして付加価値を与えることにより、日本の独自性を
  アピールすることができるのも、鉄の特長と言えましょう。

  次は漢字の鉄について見てみましょう。
 
  「鉄」は「金」を「失」うと書くため、会社名には旧字の「鐵」を
  使うことも多いそうです(新日本製鐵株式会社など)。
 
  また、「金」が「矢」の如く入ってくるようにと、本来やじりの意味を持つ
  「鉃」を使うケースもあります(JR四国を除くJR各社のロゴなど)。
 
  文字になっても様々な形に姿を変えるとは、
  さすが日本の鉄はすごいですね。

  鉄筋コンクリート造りの会社、スチールデスクの上には
  ハサミやクリップ、自動車で外出・・・。
 
  鉄は私たちの生活の中に溢れていて、
  おそらく目にしない日はないでしょう。
 
  こんなにお世話になっているにも関わらず、
  なかなか気にすることはありません。
 
  「鉄の記念日」である12月1日は、身の回りの鉄について
  考えるのにうっテツけです。
 
  今年も残りわずかとなりましたが、熱い鉄のようにホットな情報を
  盛り込んだ「あるる」で皆様のおテツだいができればと思いますので、
  どうぞ宜しくお願いします。
 
  (あるる)