●必ず間違っている

  世界三大投資家のひとり、ジョージ・ソロス。
 
  ソロスを一躍有名にしたのは、1992年9月15日のポンド危機です。
 
  当時、イギリスはEC諸国の為替を一定の枠内に収める
  ERM(欧州為替相場メカニズム)に加盟していました。
 
  ERMによって欧州通貨と連動することになったポンドは
  実勢よりも高くなっているとソロスは分析し、
  イギリスはERMから脱退することになると予測します。
 
  9月13日、ポンド同様に過大評価されていた
  イタリアリラの切り下げが実施され、次はポンドと確信したソロスは、
  9月15日、BOE(イングランド銀行)を相手に100億ドル相当のポンドを売り、
  ポンドは急落、10億~20億ドルの利益を上げました。
 
  そして9月17日、ソロスの読み通りイギリスはERMを脱退、
  ポンドは変動相場制へと移行しました。

  20年が経った今、危機の主役はユーロとなっていますが、
  実はポンドの下げも強烈なのです。
 
  ユーロは08年7月23日に169.97円の最高値、
  ポンドはそのちょうど1年前の07年7月23日に
  251.20円の高値をつけましたが、
  現在はユーロが98円台、ポンドが118円台で推移しており、
  ユーロは約72円の下落、一方、ポンドは半値以下となり、
  約133円も暴落しています。
 
  しかし、ポンドには明るい話題があります。
 
  それは今年7月のロンドン五輪です。
 
  200カ国以上、15000人以上の参加が予定され、
  観客数も400万人と予想されています。
 
  公共事業の縮小や公務員削減、社会保障費の削減など、
  財政緊縮政策によって英国の景気は低迷していますが、
  五輪による経済効果が期待されます。

  クレジットカード大手のVISAは、五輪期間中の経済効果を
  953億円と試算しています。
 
  これはシドニー五輪やアテネ五輪で発生した経済効果の2倍に相当します。
 
  また、五輪終了後の15年までの経済効果は約6477億円と見込まれており、
  イギリス経済を活性化すると期待されています。

  前回のポンド危機は高すぎが原因でしたが、
  今は対円で見るとユーロよりもきつい下げになっています。
 
  昨年、約40年に及ぶヘッジファンドの一線から退くことを宣言したソロス、
  もしかすると五輪を控えてポンドのこの水準は安すぎる、
  と彼の目には映っているかもしれません。
 
  「相場は必ず間違っている」、これはソロスの相場哲学です。
 
  ユーロが下げ足りないのか、それともポンドが下げすぎなのか、
  少なくともどちらかは間違っています。