3月25日  「忘れな草」 ディーター・F・ウークトドルフ管長
 
  教会でのレッスンで
  昨年10月の総大会での話、
  ディーター・F・ウークトドルフ管長の
  「忘れな草」と題した説教について学びました。
 
  以下は、その説教の抜粋です。
 
  「・・・少し前のことですが,わたしは妻と娘とともに美しい庭を歩いていました。
  神が創造されたものの栄光と美しさに目を見張りました。
  ふと,美しく咲き誇る花の中に,とても小さな花があることに気がつきました。
  その花の名前をわたしは知っています。
  子供のころからその花に特別な思いを抱いていたからです。
  その花の名は「忘れな草」です。
  
  この小さな花が長年わたしにとって大切だった理由はよく分かりません。
  すぐに人目を引くこともなく,大きく華やかな花の陰で,
  容易に見落とされてしまいます。
  でも,抜けるような青空と同じ色をしたこの花は,どの花にも負けず美しいのです。   
  わたしがその花が好きな理由はもう一つあります。
  それはこの花の名前の中に,心から離れない「訴え」があるからでしょう。
  ドイツにこんな言い伝えがあります。
  神がすべての植物に名前を付け終えたときに,
  まだ名付けられていない花が一つありました。
 
  「主よ,わたしを忘れないでください」という小さな声が聞こえ,
  神はその訴えをそのままその花の名前にしました。
  今晩は,この小さな花をたとえとして使います。
  小さな忘れな草の5 つの花びらは,決して忘れるべきでない
  5 つの事柄について深く考えるように促してくれます。
 
  第1に,自分に忍耐することを忘れないでください。
  ・・・・・
  第2に,良い犠牲と愚かな犠牲は違うということを忘れないでください。
  ・・・・・
  第3に,今幸せでいることを忘れないでください。
  『チョコレート工場の秘密』という人気の高い童話では,
  チョコレート工場の奇妙な工場長ウィリー・ウォンカが,
  5つのチョコレートに金色のチケットを入れます。
  引き当てた人にはチョコレート工場の見学に加え,
  一生分のチョコレートをプレゼントすると発表します。
  金色のチケットにはこんな言葉が書かれています。
  「この金色のチケットを手にした幸運なあなたには,
  ……すばらしいことが待っています。
  とてつもない驚きと感激が待ち受けています。
  ……不思議なあり得ないことが起こります。
  あなたは喜び,驚き,戸惑うでしょう。」3
  この有名な物語では,世界中の人が金色のチケットを必死で求めます。
  未来の幸せはすべて金色のチケットが手に入るかどうかに
  かかっていると感じる人もいます。
  不安に駆られ,かつてチョコレートを食べて味わった
  単純な喜びを忘れ始めます。
  金色のチケットが入っていないと,チョコレートが失望以外の
  何物でもなくなってしまうのです。
  今日,非常に多くの人が自分の金色のチケットを待っています。
  常に夢見ていた幸せを運んでくれるチケットです。
  ある人にとって金色のチケットは非の打ちどころのない結婚であり,
  別の人にとっては雑誌の表紙を飾るような家であり,
  さらに別の人にとってはストレスや心配からの解放かもしれません。
  義にかなった望みを持つことは決して悪いことではありません。
  わたしたちは「徳高いこと,好ましいこと,あるいは誉れあることや
  称賛に値すること」を望み,求めています。
 
   問題なのは,金色のチケットのような何かが起こるのを待つうちに,
  今の幸せを逃してしまうことです。
 
  第4に,福音の「なぜ」を忘れないでください。
  ・・・・・・
  第5に,主があなたを愛しておられることを忘れないでください。
  ・・・・・・
  姉妹の皆さん,忘れな草の小さな花には,
  何か人を啓発する崇高なものがあります。
  この花が,皆さんの人生を喜びと楽しみで満たしてくれる
  小さな事柄の象徴となるよう願っています。
  自分に対して忍耐と思いやりを持つこと,
  より良い犠牲とそうでない犠牲があること,
  幸せになるために金色のチケットが手に入るのを待つ必要はないことを,
  どうか決して忘れないでください。
 
  イエス・キリストの福音の「なぜ」があなたを啓発し,
  高めてくれることを決して忘れないでください。
  そして,天の御父があなたを御存じで,愛し,
  慈しんでおられることを決して忘れないでください。 ・・・・・・」