●猫の恩返し

  今週末、9月29日は9(くる)2(ふ)9(く)という語呂合わせから、
  「招き猫の日」に制定されています。
 
  招き猫は幸福を招いてくれる縁起物として、
  古くから多くの人々に愛されてきました。
 
  皆様もご存知の通り右手を挙げている場合は「お金」、
  左手を挙げている場合は「人」を招くと言われ、
  中には両手を挙げている物もあります。
 
  しかし、欲張り過ぎると「お手上げ万歳になる」という理由から、
  両手の物はあまり評判が良くないそうです。

  さて、招き猫の由来には諸説ありますが、
  有力なものは東京都世田谷区にある豪徳寺が発祥という説です。
 
  もとは世田谷城主だった吉良氏の菩提寺であった
  弘徳寺(現在の豪徳寺)ですが、
  戦国時代に吉良氏が滅亡したのを機に寺運は傾いていました。
 
  そして、江戸時代を迎えた頃、当時の彦根藩主である
  井伊直孝が鷹狩りの帰りに寺の前を通りかかると、
  手招きをしている白い猫と出会います。
 
  それを見た直孝が後を追うように寺へ入って行くと、
  その直後に周辺を雷雨が襲いました。
 
  雷雨を免れた直孝はこれに喜び、
  雨宿りをさせてくれた寺を建て直すために
  多額の寄進をしたそうです。

  この時の白い猫が招き猫のモデルになっているのです。
 
  その後も弘徳寺は井伊家の菩提寺として手厚い保護を受け、
  1659年に直孝が没した際に
  「久昌院殿豪徳天英大居士」という直孝の法号に因んで
  豪徳寺と改名されたそうです。
 
  また、彦根城の築城400年祭マスコットである
  「ひこにゃん」も、彦根城が井伊家と縁が深かったので
  白い猫をモデルにしたそうです。
 
  このように幸運を招いてくれた白い猫の話はたちまち広まり、
  この寺に参って、猫の描かれたお札や猫の置物を授かると
  商売が繁盛すると言われるようになったのです。

  こうして招き猫は縁起物として重宝されるようになり、
  様々なデザインに姿を変えながら普及していきました。
 
  その人気は日本だけに止まらず、
  アメリカを始めとする海外でも人気があります。
 
  その名も「ドルキャット」。
 
  見た目はほぼ同じですが、
  青い目と手の甲が前に向けられているのが特長です。
 
  手招きをする「COME ON」という
  英語圏のジェスチャーに由来しているそうです。
 
  しかし、豪徳寺では小判も何も持たず
  右手だけを挙げた素朴な白い猫になっています。
 
  その理由として、
  「招き猫は機会を与えてくれるが、結果は本人の努力次第」
  という意味が込められているそうです。
 
  (あるる)