●7人の神様

  古来より、日本では人々の生活を助ける力を持つ存在は
  神様とされてきました。
 
  そのため、その神様が外国の神様であっても、
  日本人を助けてくれれば神様とされてきたようです。
 
  福をもたらす縁起物として日本で信仰されている七福神も、
  大黒天、毘沙門天、弁才天はインドの神様、
  布袋和尚、福禄寿、寿老人は中国の神様で、
  日本の神様は恵比須様だけです。
 
  そして、この七福神ですが、始めから揃っていた訳ではなく、
  現在のメンバーが生まれるまでには紆余曲折だったようです。

  まず、恵比須と大黒天のペアから始まりました。
 
  そこへ、人気の高かった弁才天が加わります。
 
  三神でも足りないと思った庶民達は毘沙門天を加え、
  四神では縁起が悪いということで布袋和尚を加えて五福神としました。
 
  そして、福禄寿と寿老人を無理やりに加え、七福神となったのです。
 
  それが室町時代です。
 
  しかし、江戸時代の中期になると、
  福禄寿と寿老人は神様ではなく仙人であることから、
  七福神から除外すべきという意見が出始めます。
 
  現に当時の京都では、五福神が一般的だったと言われています。
 
  また、景気低迷を支えてくれた福助人形を七福神に加え、
  末広がりの八福神にしようと画策されたこともあるようです。

  そんな競争を勝ち抜いた七福神は非常に個性的で
  一度見ると忘れられません。
 
  唯一日本の神様である恵比須様は釣竿を持ち、鯛を抱えていますが、
  この姿には網を使って一気に漁をするのではなく、
  先を見越して竿で少しずつ釣りをするという意味があります。
 
  この地道さが喜ばれ、商売繁盛の神様となりました。
 
  現在でも、日本各地で10月下旬から12月上旬にかけて
  恵比須様を祀って1年の無事を感謝し、
  商売繁盛を祈願する風習が残っています。

  また、お正月の縁起物として、
  宝船に七福神が乗り合わせている絵があります。
 
  江戸時代では、この絵を大晦日から元旦にかけて枕の下に敷き、
  良い初夢を見ようという風習がありました。
 
  初夢は、昔から1年の吉凶を占う上でとても重要とされていたようです。
 
  (あるる)