●ありがとうの力

  誰でも人から感謝され、
  「ありがとう」と言ってもらえればきっと嬉しいはずです。
 
  相手が喜べば「ありがとう」と言った人も嬉しいことでしょう。
 
  つい「すいません」と言ってしまいがちですが、
  「すいません」よりも「ありがとう」と言われたほうが
  嬉しく感じるのは私だけではないはずです。

  『ある時、新幹線に乗っていた夫婦が
  近くに松下幸之助が座っていることに気がつきます。
 
  声をかけようとしますが、いきなり話しかけても失礼だし、
  相手にしてもらえないかもと考えます。
 
  そこで妻がみかんを差し入れて、
  きっかけを作れば良いと提案しました。
 
  夫はみかんを購入し、松下幸之助に差し出しに行きます。
 
  松下幸之助は嬉しそうに「ありがとうございます」と言い、
  その場でみかんの皮をむいて食べ始めたそうです。
 
  夫婦は松下幸之助と話をすることができ、
  大満足で席に戻りました。
 
  そして京都に着くというとき、
  松下幸之助が夫婦の座席の前にやってきて
  「先ほどはありがとうございました。とても美味しかったです」
  と頭を下げて夫婦に礼をしたそうです。
 
  あの天下の松下幸之助がわざわざ下車する前に
  挨拶にきてくれたと夫婦は感動します。
 
  しかし、それだけではありません。
 
  京都駅でおりた松下幸之助は、
  その夫婦が見える窓のところまで来て、
  夫婦の姿が見えなくなるまで
  深々と頭を下げ続けて見送ったそうです。
 
  夫は松下幸之助の行為に感動して涙しました。
 
  そして、家に帰るとすぐ電気屋さんに連絡をし、
  自宅の電化製品全てをナショナル製品に変えました。』

  松下幸之助にまつわる逸話は数多くありますが、
  このエピソードは「みかんの話」と題し、
  「ありがとう」という言葉だけでなく、
  「ありがとう」の表現の大切さを感じるエピソードとして
  言い伝えられています。
 
  「ありがとう」という言葉や気持ちが持つ力が
  どれだけ人の心に響くのかを具体的に表しているエピソードです。

  「ありがとう」と言う方は何気なくても、言われる方はうれしい。
 
  「ありがとう」これをもっと素直に言い合おう。
 
  松下幸之助が残した名言です。
 
  最近では、直接的なコミュニケーション不足が叫ばれていますが、
  相手に対する感謝や尊敬の気持ちを
  素直に言葉にできる心だけは持ち続けなければなりません。
 
  (あるる)