●日本男児の底力

  女性が将軍、男性が側室や家来となって仕える時代劇と言えば「大奥」です。
 
  よしながふみ氏の人気漫画を映画化し、人気女優が男役を演じたことから、
  話題の大ヒット作となったのは皆様、ご存知のことと思います。
 
  しかし、最近では、現実のビジネス社会でも男女の逆転現象が起きているのです。

  実際、この10年間、男性の雇用は約100万人も減少する一方、
  女性の雇用は右肩上がりに増え続けています。
 
  更に、30歳未満の1か月の可処分所得
  (収入から税金や社会保険料を引いた金額)の場合、
  男性が21万5515円に対し、女性は21万8156円と、
  女性が男性よりも高所得になっているのです。
 
  経済のグローバル化により、男性の雇用が多かった製造業を中心に
  生産拠点が海外に移りました。
 
  また、少子高齢化に伴い、生産年齢人口比率が下がると
  住宅購入などが減り、建設投資が落ち込みます。
 
  男性の雇用が減るのは当然のシナリオです。
 
  一方、高齢化が医療介護のニーズを増やしていますが、
  こうしたサービス関連の仕事は女性の比率が高く、
  男女間の雇用格差が生まれたと言えます。

  米国でも、リーマンショック以降、男性の失業率が女性を上回り、
  不況という意味の「Recession」から派生した「Mancession」
  (男性不況)という言葉も生まれています。
 
  男性不況により、男性が消費の中心だった
  自動車、酒・煙草といった嗜好品市場も縮小しました。
 
  一方で、女性が消費の中心であるエステなどのサービス産業は
  着実に伸びています。
 
  こうした女性向けサービス産業は、スタッフのほとんどが女性ですので、
  結果的に女性の雇用が増えることになります。
 
  働く女性が増えれば、企業の上層部に就く女性も増え、
  まさに「大奥」が現実化しているのです。
 
  究極は「男性専業主婦化」も考えられますが、
  男女が逆転しても経済全体が縮小することは避けなければなりません。

  「男性不況」という本を出版した第一生命経済研究所の
  永濱利廣エコノミストは、「女性の社会進出に問題があるわけでなく、
  そこで男性がしわ寄せを受けてしまうような環境を放置していることが
  一番の問題」と述べています。
 
  そして、「近年、男子学生の理系離れが言われていますが、
  これでは技術革新もなくなり、日本はますます弱くなります」とも語っています。
 
  将来の日本を占う上で、現状は極めて厳しいと言えます。
 
  今こそ、日本男児の底力を見せる時ではないでしょうか。
 
  (あるる)