●200円前後

  アルジェリアの天然ガス関連施設での人質事件、 
  アルジェリア以外にも日米欧の企業は数多く進出しており、
  今後の資源開発に影響を与えそうです。
 
  ただ、それ以上に影響を与える要因が育ってきています。
 
  米国発のシェールガス革命です。
 
  革命という形容は大げさでなく、
  石炭から石油にエネルギーが移行したとき以上の変革を
  シェールガスはもたらすと予想されています。

  シェールガスとは頁岩(けつがん)という岩石の
  地層(シェール層)の隙間にある天然ガスのことです。
 
  技術革新によって商業生産が可能になったのは
  今世紀に入ってからで、年々徐々に生産量は拡大し、
  今では米国の天然ガス産出量の4割近くが
  シェールガスとなっています。
 
  革命といわれる所以は、その埋蔵量によります。
 
  米エネルギー情報局によると、ロシア・中東などを除いた
  シェールガスの世界の「原資埋蔵量」は717兆立方メートル、
  そして「技術的回収可能資源量」は188兆立方メートルとされます。
 
  2008年の天然ガスの年間消費量が3兆立方メートルですので、
  その埋蔵量は膨大です。
 
  また、電力1キロワットを発生させるのに必要なコストは、
  石油で10円、太陽光発電(政府買い取り価格)は42円、
  シェールガスは6円です。
 
  安価で大量のエネルギーが供給されることで、
  世界は大きく様変わりする可能性を否定できないと思います。

  そして、何よりも大きく変化するのが為替だと思います。
 
  1971年の変動相場制移行から、1ドル=360円のドル円相場は
  一昨年に記録した75円まで一貫して円高が進み、
  ドルの価値は約5分の1に減価しました。
 
  この原因は米国の経常収支が赤字、
  日本の経常収支が黒字という関係がずっと続いていたからです。
 
  しかし、シェールガス革命によってこの関係は崩れます。
 
  米国の貿易赤字の半分は原油の輸入によるものですが、
  2017年にはエネルギーの純輸出国になると見込まれており、
  赤字の半分が消え、輸出による黒字が生まれます。
 
  40年続いた円高の流れが終わり、ドル高の流れが始まる、
  今の円安はアベノミクスによるものとされていますが、
  それは表面上のことで、根本は構造的変化がもたらす円安のように見えます。

  アベノミクス、欧米の金融緩和が日本よりも先に終了する見通し、
  これらの要素が今の円安の理由であれば
  円高の修正という程度に収まると思います。
 
  もし、構造的変化に伴う円安ならば、今は誰も予想していない
  円安のレベル(タイトルにしました)に達しかねません。
 
  どちらにしましても、今後は円安に対するヘッジが
  資産防衛には必要ということでしょうか。
 
  (あるる)