●眼力衰えず

  ジョージ・ソロスと言えば、世界的に有名な投資家の一人です。
 
  2011年7月に40年以上に及ぶヘッジファンド業界から引退し、
  その後は家族以外の資産運用は行っていないソロス氏でしたが、
  最近、再び金融市場で注目を集めています。
 
  アベノミクス相場と言われる最近の金融市場ですが、
  特に為替市場における急激な円安で、
  僅か3ヶ月の間に930億円の利益を上げたと言われているからです。

  ソロス氏が動き始めたのは停滞していた日本経済に
  変化を感じたからと言われています。
 
  昨秋、野田前首相が党首討論で衆議院解散を明言してから、
  日本の政権与党が代わることを確信したソロス氏は
  本格的にドルを買い進めました。
 
  誰よりも早く行動に移した結果、70円後半で推移していた円相場が
  現在100円近くまで円安していることを踏まえると、
  投資の世界の第一線から退いているとは言え、
  未だに衰えていないソロス氏の相場観の凄さが分かります。

  また、黒田日銀総裁になってから日銀の金融緩和政策は
  「大胆」や「異次元」などと評され、
  ソロス氏は日銀の采配を高く評価する一方、
  「日本の金融緩和は米国の3倍パワフルだ」や
  「円安が止まらなくなり、日本人の海外への資本逃避が始まる」
  と警鐘を発しています。
 
  米国(FRB)はリーマンショック後に4年間かけて
  QE1、QE2、QE3を行い、
  マネタリーベース(通貨供給量)を当時の3倍以上の
  3兆ドル近くまで急増させてきました。
 
  これに対し、日銀も米国と同規模、もしくはそれ以上の
  量的緩和を今後2年で実施しようとしているからに他なりません。

  最近の新聞紙上では、今後の円相場の行方について、
  95円~120円と幅広い円安予想が出ていますが、
  ソロス氏の予想は未知数です。
 
  但し、急激な円安の可能性を警戒しているのは事実です。
 
  今後、ソロス氏は何に投資ターゲットを定めてくるのでしょうか。
 
  数々の投資で世間を驚かせてきたソロス氏の動向は
  為替市場のみならず、株式市場、不動産市場、商品市場など、
  多くの投資家が注目しています。
 
  アベノミクスが日本経済に大きな影響を齎した時、
  その背景にソロス氏が絡んでいるのは間違いないと思われます。
 
  (あるる)