こんな理由で家を買ってはいけない!
その1 景気回復で、給料が上がりそう!?
「高額な買い物は消費税増税前がお得では?」
「アベノミクスで給料が上がりそうだし」……などといった理由で、
マイホーム購入を検討する人が増えています。
しかし、買い急ぐあまりにマイホーム購入の
“禁じ手”を使ってしまうケースも多いので注意が必要です。
累計11万部を超えるロングセラー
『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂4版』の著者・深田晶恵さんが、
今回から4回にわたり、今こそ知っておきたい「マイホーム購入の禁じ手」を紹介します。
●景気回復で、給料が上がりそう!?
アベノミクスを理由に家を買っては危険!
安倍首相が経済界に賃上げを要請し、
ローソンやセブン&アイ・ホールディングスなどが
年収アップを発表したのは記憶に新しいところ。
自動車メーカーや大手電機メーカーでは、
2013年の春闘でボーナスの満額回答が相次ぎました。
近年は「給料が上がらない時代」と言われ続けましたが、
「アベノミクスで自分の給料も上がるかもしれない」
と期待している方も多いのではないでしょうか。
「消費税増税を控えているから、高額な買い物は今がチャンスでは?」
「景気が回復すれば、給料も不動産価格も上がるかもしれないし……」
「いずれは住宅ローン金利も上がるはず」などと考え、
景気のいいニュースに背中を押されて、住宅購入を急ぐ人が増えそうです。
しかし、「給料が右肩上がりにアップするだろう」という前提で
住宅ローンを組むのはNGです。
●過去のデータをみると
企業が儲かっても給与には反映されない
第一に、今回の年収アップや一時金満額回答の背景を
よく考えてみる必要があります。
いち早く年収アップを発表して注目を集めたのはローソンでしたが、
同社社長の新浪剛史氏は安倍首相が議長を務める
「産業競争力会議」の委員。
春闘で満額回答を出した企業は経団連の主要メンバーであり、
安倍政権に近い立場にあります。
いずれも、「アベノミクスへの貢献を率先して示すことが
自社にとってメリットになる」という考えがあっての行動だと
見ておいたほうがいいでしょう。
過去のデータを振り返ると、2003年から2007年までは
企業収益が前年比プラスで推移しており、
2003年〜2005年の3年間は年率2ケタ以上も伸びていたのに、
この間、従業員の賃金の伸び率はマイナスか、
増えてもプラス1%でしかありませんでした。
これまで企業の経営陣は、長期にわたり、
従業員の生活よりも自社の存続を優先してきたのです。
アベノミクスで経営陣が“改心”したと考えるのは、
早計ではないでしょうか。
短期的には給料が上がることもあるかもしれませんが、
長期的な右肩上がりの上昇は期待薄だと思います。
特に「一時金満額回答」については、
ボーナスが業績しだいであることを考えれば、
一時的なものととらえておくのが無難でしょう。
今後の収入が継続的にアップする保証は、どこにもありません。
(ダイヤモンドオンライン)