●イチゴ、ナッツ、クジラ… 海外すしブームの裏に必ずある“珍ネタ”
 
  アメリカや欧州、ロシアなどから遅れること3年、
  今、ノルウェーではすしブームが花を開きつつある。
 
  日本人同様、ノルウェー人にとっても魚を食べることは身近だ。
 
  しかし、日本と同様、子供の「魚離れ」は深刻化しており、
  「ノルウェー水産物審議会(NSC)」などは「すし」に目をつけ、
  いろいろなPRを行うことで魚の消費を上げようと躍起になっている。
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  ノルウェーのすし事情を見せてくれるというので、
  ノルウェー首都オスロから飛行機で2時間ほどの港街トロムソのすしレストラン
  「Ra Sushi & Bar」を訪ねた。
 
  出迎えてくれたのは大阪・ウェスティン内のすし店で修行したというスペイン人シェフ。
 
  日本での厳しい修行話を聞きながら、すし飯、ネタの下ごしらえなど、
  おなじみの作業を見守る。ところが「おなじみ」ではなかったのが、
  目の前のネタの箱の中身だった。
 
  日本では見慣れないマンゴー、イチゴ、揚げたナッツが用意されている。
 
  一体何に使うのか、注目していると、クリームチーズとマンゴーをのせ巻き始めた。

  「えーっ!」日本ではお目にかかれない巻き寿司に、一緒にいた日本人も大騒ぎだ。
 
  どよめきを尻目に、次に準備されたのは揚げたナッツ。
 
  裏巻きの上にサーモンが巻かれ、クリームチーズと生のイチゴがトッピングされると、
  もう驚きを通り越して目が点になってしまう。

  この“世にも不思議な”すしをホントに食べるの…?と眺めていると、
  隣に座っていたノルウェー人女性が解説してくれた。
 
  「ノルウェー人は魚を食べるとは言っても、生魚を食べる習慣はないから苦手なの。
  これはイチゴのつぶつぶの食感と、
  後に残る甘さが生の食感と独特の臭いを消してくれる」。

  なるほど。そこまでして食べたいものなのかと、やや疑問を残しつつ、
  「これが(この店で)1番人気」と勧められると食べずにはいられない。
 
  恐々ほおばってみた。と、これは意外!
 
  揚げたナッツのサクサクッとした食感が楽しめて、悪くない。
 
  次にサーモンとイチゴの相性のよさに驚いた。
 
  すしに使われているサーモンは、NSCの徹底管理下で養殖され、
  運搬にも厳しい温度設定で空輸するため「生サーモン」で懸念される
  寄生虫の心配は必要ない。
 
  ややこってり感があるサーモンだが、
  イチゴのつぶつぶ感と酸味で後味もさっぱりとしたものだった。

  日本人にウケたと分かったのか、次に「鯨」の刺身と唐揚げが登場した。
 
  ノルウェーも日本同様に捕鯨国だが、鯨肉がスーパーで売られることはほとんどない。
 
  魚専門の小売で購入することは可能だが、手に入らないこともある。
 
  一般的に鯨を食べるのか聞いてみると、
  「これまで食べたことがない」とノルウェー人女性。
 
  ノルウェーに住む日本人にも聞いてみたが、
  「積極的に食べないし、買わない」という。
 
  日本より鯨を食べることが身近ではないようだ。

  そんなノルウェーの鯨の味はどうなのだろう。
 
  刺身の味、食感はともに肉に近く、ローストビーフを食べているような感じだった。
 
  この鯨の肉を使って軍艦巻きとしても提供してくれるという。
 
  唐揚げは、日本で食べたことのあるものとは少し違ったが、
  しょうがとガーリックが効いて日本人好みの味だった。
 
  ノルウェー女性に勧めたところ、最初はおそるおそる食べていたが、
  店を後にするときには「お持ち帰り」用のボックスを持っていた。

  「ノルウェーですしはこれからもっと人気になるだろう」とシェフは自信満々で語る。
 
  首都オスロ、今回訪れたトロムソなど、
  ノルウェー各地ですしレストランは増えているという。
 
  今後の“珍すし”登場にも期待できそうだ。
 
  (産経新聞)