●水資源保護 議連、近く法案提出へ
 
  中国をはじめとする外国資本による国内の森林の買収が相次いでいる。
 
  表向きの買収目的は「資産保有」「住宅」などとなっているが、
  地面のほとんどは二束三文の価値しかない。
 
  真のねらいは川や地下を流れる「きれいな水」のようだ。
 
  貴重な水源地である森林を外国に押さえられると、
  日本はたちまち水不足に陥りかねない。対策はどうなっているのか。
 
  超党派国会議員でつくる「水制度改革議員連盟」
  (代表・石原伸晃環境相)の有志が4月30日、福井県大野市を訪問、
  湧水地点や水力発電の取水場などを視察した。
 
  同市は、井戸枯れや地下水位低下を防ぐため、
  融雪用の地下水のくみ上げを昭和52年から条例で規制してきた。
 
  地下水保全の先進自治体といわれている。
 
  それでも、市側は「自治体だけで水資源を守り抜くには限界がある」
  などと、国全体による水資源保護の必要を訴えた。
 
  外資の買収とは直接のつながりはなさそうだが、
  視察した中川俊直事務局長(自民)は、
  市の規制は水を守る意味で参考になったと痛感、
  「水資源がどんどん海外の資本に奪われている。
  一刻も早く法案を成立させたい」と述べた。
 
  議連は、昨年3月に策定した「水循環基本法案」を
  近く国会に提出する方針だ。
 
  法案は、水資源を「国民共有の貴重な財産」とし、
  首相が本部長を務める「水循環政策本部」を内閣に設置して、
  7つの省庁がバラバラに管理する国内の水資源を
  一体的に管理することを定めた。
 
  林野庁は、平成17年以前に5件20ヘクタールの森林が
  外国資本に買収されているのを確認。
 
  18年から24年までも含めると68件、計801ヘクタール
  (東京ドーム約170個分)の買収を把握した。
 
  国・地域別では、18年から24年までの累計で中国
  (香港を含む)が280ヘクタール、
  2番目はシンガポールで79ヘクタール。
 
  買収された森林は北海道を中心に、内陸部や、
  日本最大の人口を抱える埼玉や神奈川などの関東にも広がっている。
 
  日本の水は良質で、水道水でも気軽に飲めるほど世界に誇れる財産だ。
 
  逆に、身近な存在ゆえか、水資源保護の発想に乏しく、
  大野市のような自治体の自助努力に任せていた。
 
  23年4月には森林法を改正し森林所有者に届け出を義務づけたが、
  取引への歯止めにはなっていないようだ。
  
  安倍晋三首相は3月27日、参院財政金融委員会で
  「新たな法整備を含めて、しっかりと研究していく」と述べた。
 
  ここに、大きな壁が立ちはだかる。
 
  世界貿易機関(WTO)のルールでは、
  外国人や外国資本であることを理由にした
  森林買収の制限を認めていないのだ。
 
  ただ、WTOに加盟する米国は、
  国の安全保障を脅かす懸念がある場合は
  土地取引を無効にできる権限を大統領に付与している。
 
  昨年秋には中国系企業がオレゴン州の米軍施設近くの
  風力発電関連企業を買収すると、
  オバマ大統領は安全保障上の理由で待ったをかけた。
 
  WTOは貿易の世界。かたや、水は安全保障の世界といえる。
 
  (産経ニュース)