●それが相場

  家賃でなく物件価格が10万円!
 
  こんな激安リゾートマンションが実際に販売されています。
 
  新潟県南魚沼郡湯沢町。
 
  上越新幹線・越後湯沢駅から車で約35分、
  関越自動車道・月夜野ICから45分の「西武ヴィラ苗場クリスタル一号館」。
 
  バス・トイレ・キッチン付きのワンルームながら、
  公共スペースとして広々としたロビーやキッズルーム、パーティールーム、
  さらにスポーツジムまで備えた全戸533戸の立派なマンションです。
 
  月々の管理費は1万5100円。
 
  1LDKでも物件価格20万円、管理費2万8430円と激安に変わりはありません。
 
  なぜこのような価格のマンションが売られているのでしょうか。
 
  特別な理由はありません。単にそれが「相場」だからです。

  このマンションが建てられたのは1992年。
 
  映画『私をスキーに連れてって』から起こったスキーブームの象徴である
  「苗場」でリゾートブームも始まりました。
 
  首都圏から簡単にアクセスでき、周辺には20ヶ所以上のスキー場、
  温泉も豊富な湯沢はリゾートマンション建設に湧きました。
 
  88年の全国リゾートマンション売り出し総戸数は1万1564戸、
  その3分の1が湯沢町に集中しています。
 
  しかしバブルが弾けると湯沢町の巨大マンション群は一変、
  休日の夜でも灯りの点いている部屋は数えるほどになり、
  スキーブームとともにリゾートブームも終焉しました。

  都心部のマンションが庶民の手の届かないレベルにまで高騰したと同時に
  リゾートマンションが売れ始め、当時はこんなことが言われていました。
 
  「①湯沢のマンションをローンで2戸買う、
  ②約2倍に値上がりした後に1戸を売る、
  ③売った資金で2戸分のローンを完済する、
  ④タダでマンションが1戸手に入る」。
 
  投機目的の購入者が大多数でした。

  冬はスキー、夏は避暑、最近では夏の恒例行事となった音楽イベントの
  フジロックフェスティバルもあります。
 
  フジロック期間中は周辺の宿が取れないからマンションを買う
  という人もいるといいます。
 
  若い人が数人で共同購入し、各自が使いたい時に訪れるケースも増えており、
  憧れの別荘が破格の値段で手に入るのです。
 
  湯沢のリゾートマンションは、大手の管理会社が入っているケースが多く、
  将来の大規模修繕に向けた積立金の管理などが
  きちんと行われているところがほとんどです。
 
  現在の激安価格であれば購入を検討してみたいという方も
  少なくないのではないでしょうか。
 
  (あるる)