震災からの復興被災地で進む積極的な国産材利用・木づかい1

大正12年9月1日に発生した関東大震災。
その教訓を忘れないように制定された防災の日。
今年は特に関東大震災から90年の節目になることから、
大震災を想定した、より具体的な訓練や体験イベント、
トークイベントなどが各地で行われました。
 
皆さんの身近でも、自治体や職場、町内会、自治会などが実施する
防災訓練などに参加された方もいらっしゃると思います。
また、大震災等で亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたり、
震災や火災などの防災について考えられた方もおられたのではないでしょうか。
 
さて、東日本大震災から2年半が経過しました。
国、地方自治体をはじめ、企業、NPO団体、ボランティア団体等による
復旧・復興に向けた精力的な活動が継続して行われています。
林野庁では、政府による「東日本大震災からの復興基本方針」に基づき、
復興に向けた森林・林業・木材産業分野での貢献として、
住宅や建築物への木材の活用、エネルギー等への木質バイオマスの活用、
海岸防災林の再生等を促進しています。
 
これらの取組みは国産材の積極的な利用(木づかい)を柱とした
被災地の生活基盤の復旧、雇用の創出・産業の復興等に向けた取組みです。
今号では、その取組みの一部を紹介いたします。
 
木造で整備された応急仮設住宅(福島県会津若松市)
海岸林の再生(あらはま 懸け橋の森/宮城県)
※木づかい友の会に入会されて間もない方で、
木づかいの考え方
(日本の森林の現状や日本の木を使うことが環境問題や
山村問題等の解決につながるということ)について、
ご存知でない方は、次のページに記載されていますので、ぜひご一読ください。

木化都市づくり(宮城県東松島市)

 
木造の仮設診療所
 
内閣府の「環境未来都市(※1)」のモデル地域に
指定されている宮城県東松島市。
環境問題、超高齢化社会に対応し、震災からの復興とともに、
未来に残せるまちづくりを目指しています。
 
その柱の一つが「木化都市」づくり。
人々が安全で、安心に暮らせるまちづくりを前提として、
太陽・風などの自然エネルギー、
森を形づくる自然資源である地域の木(地域材)を活用し、
農林業・エネルギー生産・観光・暮らしを結びつけ、
産業を育て、雇用の創出を目指します。
 
その第一歩として、大きな被害を受けた野蒜(のびる)地区の
応急仮設住宅敷地内に木造仮設診療所が建てられ、
昨年12月より診療が開始されています。
仮設住宅での不慣れな生活や将来への不安などが
原因と考えられる住民の体調不良等に対応し、
心と体のケアを行なっています。
心と体に優しい木造・木質空間のメリット(※2)を活かした
医療施設の場となっています。
なお、同市では小中学校を木造で建設し、
周囲の自然環境を活かした教育活動を行なっていく
「森の学校」計画も進行しています。
 
※1:「環境未来都市」構想…特定の都市を環境未来都市として選定し、
21世紀の人類共通の課題である「環境問題」や「超高齢化」の対応などに関して、
技術・社会経済システム・サービス・ビジネスモデル・まちづくりにおいて、
世界に類のない成功事例を創出するとともに、
それを国内外に普及展開することで、需要拡大、雇用創出等を実現し、
日本全体の持続可能な経済社会の発展の実現を目指すものです。
 
※2:木のある空間は、木そのものの持つ香りや温かさだけでなく、
ストレスホルモンを減少させ、脳血流量を沈静化させるなどの
癒やしの効果(リラックス効果)、
湿度の調整機能によりダニやカビを寄せ付けず
清潔な空間を創出するなどの効果が実験的に確かめられています。

国産材による集合住宅を建設(仙台市、北上市、盛岡市)

 
気仙杉を用いた集合住宅の建設
 
被災地での産業復興や雇用拡大を支援するため、
被災地の木を積極的に使った集合住宅の建設が進められています。
岩手県陸前高田市内の工場で加工された「気仙杉(※)」が用いられ、
岩手県・宮城県の約20市町村が対象となっており、
約200棟(1,200戸)が建設される予定になっています。
 
材には、1本1本にオリジナルのロゴマークが印字されており、
国内林業の活性化へ向けた取組みを伝えています。
被災地の木材を積極的に使うことは、
被災地の林業を中心とした産業復興や
雇用促進と長期的な森林の保全に貢献しています。
 
※岩手県気仙郡及び下閉伊郡南部地方で産出される杉

木質系災害廃棄物を発電に利用(茨城県ひたちなか市)

 
災害廃棄物(上)とバイオマス発電所(下)
 
震災後の復旧に向けた大きな課題の一つとして、
災害廃棄物の処理があります。
テレビのニュース等で映像をご覧になられた方も多いと思いますが、
環境省の推計によるとその総量は約1,965万トン。
想像を絶する量です。
処理や受け入れ先が問題となっている一方で、
木材のもつリサイクル機能を活かして、
災害廃棄物の中で倒木や木屑などの
木質系廃棄物を有効活用する取組みも行われています。
 
木屑や木片を発電用燃料として活用したり、
丸太や倒木から公園のベンチを作ったり、杭にしたり、
チップ化して、園路の舗装に使ったり、
木質ボードと呼ばれる板に加工して家具などが作られています。
 
これらは、木材が1回だけの使いきりでなく、
利用後も更に別の用途に活かす多段階利用
(カスケード利用※)が可能であるという
リサイクル機能を活かした活用例です。
 
※最近は古い民家などが解体されたとき、
柱や建具に使われていたもの(廃材)を
活用してつくられた家具が人気を呼んでいるようです。
古材のもつ独特の空気感や哀愁感が好まれているようです。
その家具も使い終えたときには、
チップにしてバイオマス燃料として使うことができます。
この例では、(森林→)木材 → 民家 → 家具 → 燃料 として
多段階に利用できます。
これを木材の「カスケード利用」と言います。
 
(木づかい友の会通信)