●金曜日のアノマリー
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  今月もネガティブサプライズだった米雇用統計。
  
  非農業部門雇用者数の事前予想が18万人増だったのに対して、
  16万9000千人増という結果でした。
  これによって為替市場では、発表直後に1円以上もドル安円高に振れました。
 
  この発表があったのが午後9時半ごろ。
 
  ちょうど金曜ロードショーで、宮崎監督の引退に敬意を表して
  「紅の豚」というジブリ映画が放送される時間帯でした。
 
  ここに奇妙な合致点があるのをご存知でしょうか?

  それが為替の世界では、今や有名になりつつある「ジブリの法則」です。
 
  毎月第1金曜日に発表される米雇用統計と、
  金曜ロードショーでのジブリ映画の放映が重なると、
  ネガティブサプライズになる(事前予想を下回る)確率が
  高くなるというものです。
 
  アノマリー(合理的な説明ができない)ジンクスとされていますが、
  今回を含めて2010年以降で12回中11回も
  事前予想を下回っているのですから、全く無視するわけにもいきません。
 
  当然、事前予想を下回る数字になるということは、
  米国の景気が悪いということを意味します。
 
  つまり、為替市場ではドル安円高に振れ易くなります。
 
  こちらの数字も、同期間で12回中11回がドル安円高になっているのです。

  ただ、一般的に毎月第1金曜日は相場が荒れ易い傾向が強いのも事実です。
 
  米国の米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては、
  「最大限の雇用確保」が「物価安定」に並ぶほど重要な責務とされています。
 
  よって、米雇用統計は、金融政策の見通しに与える影響が非常に大きくなります。
 
  さらに、米雇用統計に関しては、
  事前に民間の調査会社による統計報告は行なわれるものの、
  事前予想が的中し難く予測が困難な指標と言われています。
 
  つまり、ジブリ映画の放映に限らず、
  毎月第1金曜日は相場が荒れ易いという見方もできるわけです。
 
  こうした見方から、多くのアナリストやエコノミストが
  「ジブリの法則」について様々な方法で分析を行っているものの、
  その結果の多くがジブリ映画との関連性は薄いという結論に至っています。

  このように見てきますと、「ジブリの法則」も面白半分で囃し立てた、
  いわゆる都市伝説の域を出ないのかもしれません。
 
  しかしながら、世界には実際に多くのアノマリーが存在することも確かです。
 
  米国の株式市場では、月曜日の収益率が他の曜日に比べて
  極端に低いという月曜日効果。
 
  米大統領選挙の年はドル高円安になりやすいなどです。
 
  今や世界の宮崎駿監督なのですから、
  世界のアノマリーとして「ジブリ法則」があっても良いと思ってしまいます。
 
  ・・・というのは大袈裟でしょうか?
 
  それでも、次の米雇用統計と金曜ロードショーでジブリ映画が放映される日には、
  少し注目してみてはいかがでしょうか。
  (アルフィックス日報)