●温暖化から寒冷化へ
  今冬の北半球は大寒波に見舞われています。
 
  その原因は、温暖化による北極海氷の縮小が
  その上空の低気圧の進路や配置を変化させるためと言われています。
  ところが昨年、減り続けている北極海氷の体積が
  前年より1.5倍になっていると欧州宇宙機関(ESA)の
  極域観測衛星「クライオサット」が観測しました。
 
  北極海氷は1980年代の2万立方キロの体積から
  2012年9月に体積6000立方キロという
  観測史上最小面積にまで縮小していました。
 
  それが昨年10月に9000立方キロまで回復していることが
  確認されたのです。
 
  宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測衛星「しずく」も
  同時期に北極海氷面積が拡大していることを観測しています。
 
  温暖化が警鐘される地球に今何が起こっているのでしょうか。

  海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究員によりますと、
  グリーンランド海の表面水温が昨年11月、
  平年値に比べて一気に2度以上も下がったと言います。
 
  これは1989年以来、最大の低下であり、
  今年の1月も続いているとのことです。
 
  北大西洋には、海面水温が約70年周期で35年ごとに
  上昇・下落を繰り返す「大西洋数十年規模振動」という現象が
  存在すると言われています。
 
  現在の温暖化は1980年ごろから、急速に進みましたが、
  1979年2月から3月にかけてグリーンランド海の表面水温が
  突然2度高くなる出来事がありました。
 
  この変化で周辺の大気の流れに影響が及び、
  温暖化への道が始まったのです。
 
  当時から数えて約35年、今秋も北極海氷が増えるようであれば、
  寒冷化に向けて私たちも意識を変えなければならないかもしれません。

  実は太陽にも変化が現れています。
 
  太陽は約11年周期で活動が活発な「極大期」と低調な「極小期」を繰り返し、
  そのたびに北と南の両極の磁場が入れ替わるという現象が起きます。
 
  しかし、国立天文台と理化学研究所などの観測によりますと、
  昨年春に起きるはずの“磁場の逆転”がみられず、
  太陽活動の低い状態が続いているとのことです。
 
  過去を振り返りますとこのような太陽の異変は
  数百年に1度ほど起こっており、同時期に平均気温が下がり、
  夏が来なくなるという現象が起こっていたという記録があります。
 
  地球の寒冷化との関連性はまだはっきりとは示されておりませんが、
  研究者の間では太陽の磁場活動の低下と
  気温低下との関連性が大きく注目されています。

  温暖化から寒冷化へ向かうからと言って、環境を破壊させる
  大規模な経済活動を続けても良いわけではありません。
 
  地球が大きく変化しようとしている中で
  私たちの生命維持活動のあり方もまた
  共に変化させてゆかなければならないかもしれません。
 
  (アルフィックス日報)