●運命の分かれ道
  日本の貿易赤字は2013年11兆4745億円と過去最大になりました。
 
  東日本大震災までの約30年間続いてきた貿易黒字は
  20ヶ月連続の赤字となり円安圧力が強くなりそうです。
 
  加えて経常収支についても1月が1兆5890億円と過去最大となり、
  通年で初の赤字に転落する可能性が出てきました。

  日本経済はこれまで企業と国内貯蓄で経常黒字を保ってきましたが、
  和製版「双子の赤字」を目前にして
  いよいよ国債を国内の投資家だけで消化するのが難しくなりそうです。
 
  現在、家計純資産1205兆円に対して、政府債務は1122兆円、
  このまま行けば2016年には逆転する計算です。
 
  既に日銀は昨年からの異次元緩和で国債を152兆円保有しており、
  今後、海外投資家向けに外貨建て国債を発行する場合は、
  今の超低金利から長期金利が2%前後まで上昇することが予想されます。
 
  金利が上昇することによって日銀の保有する国債時価は14%下落し、
  約26兆円の評価損を被る計算となります。
 
  そのまま財政赤字が膨らんだ場合は、高インフレによる
  借金帳消しという解消法を取らざるを得なくなるでしょう。

  一方で、米国や英国、カナダの様に経常赤字が常態化している国でも、
  高い経済成長率を続ける例もあります。
 
  これらの国は対外純資産が全てマイナスで、
  米国に至っては約200兆円にも上る対外純負債を抱えています。
 
  しかし同時に、対内直接投資(海外企業から自国内への直接投資)、
  対外直接投資(自国企業から海外への直接投資)ともに世界一であり、
  それぞれ約350兆円、約500兆円と
  対外純負債を上回る規模で他国を圧倒しています。
 
  英国、カナダも米国ほどの金額ではないものの
  海外との資金交流が活発にあり、流動性が保たれています。

  実は、日本は貿易立国の時代に築いた
  約300兆円の対外純資産を持っていますが、
  対内直接投資約20兆円、対外直接投資約85兆円と
  主要国の中では異常なまでの低さとなっております。
 
  これはつまるところ日本の経済が
  「鎖国」に近い状態にあることを表しており、
  言い換えれば海外から見た場合、
  投資妙味の少ない国であるということです。

  逆転の発想で考えれば、日本は今後の運営方針次第では、
  開かれた大きな市場になれる可能性があり、
  財政再建と生産的な投資という種をうまく撒くことがでれば
  将来的に経常・貿易ともに黒字という花を咲かすこともできます。
 
  アベノミクス第3の矢として期待されている法人税率の引き下げや
  労働市場の改革、公的年金の運用見直しなど、
  世界に向かって分かりやすいPRをすることで、
  日本の持続的な成長の鍵を見出したいです。
 
  (アルフィックス日報)