●日銀が抱える爆弾
日本銀行の国債保有率が急上昇しているのをご存知でしょうか。
先月25日、日銀が発表した資金循環統計によりますと、
2013年末の国債残高のうち、日銀の保有額は
前年比58.9%増の183兆円と、過去最高となりました。
更に、日銀の国債保有比率は、2012年末から13年末の1年の間に、
6.6%も急上昇し、18.6%となっております。
これは、08年秋より量的緩和を行ってきたFRBを上回る水準です。
この背景には、政府・日銀による大胆な金融政策が大きく関わっています。
この背景には、政府・日銀による大胆な金融政策が大きく関わっています。
日銀は、長期国債の保有残高の計画を公表しており、
今年は更に50兆円近く国債を買い増す方針です。
これにより、日銀による国債保有比率は、今年末には24.7%、
15年末に29.1%となり、現在のペースで日銀が国債を買い続けますと、
日銀の国債シェアは、20年ごろに50%に達する計算となってしまいます。
日銀の国債シェアは、20年ごろに50%に達する計算となってしまいます。
さすがに中央銀行が自国の国債の半分を保有しているという状況は、
健全な財政状況とは言えません。
ここで危惧されることは、国債の買い手として
ここで危惧されることは、国債の買い手として
日銀しか残らないかもしれないという未来図です。
実際に、今月14日の債券市場では、新発10年物国債で
市場取引が全く成立しないという事態となりました。
日銀が大量に国債を購入している結果、
市場参加者同士の売買が極端に細ってしまい、
流動性が低下しているためと考えられます。
現在の国債10年物金利は、日銀による大量購入に支えられ、
0.605%と低金利で落ち着いているように見えます。
0.605%と低金利で落ち着いているように見えます。
しかし、日銀以外の買い手が不在となる状態が続けば、
国債価格は下落し、金利の上昇は避けられません。
このように、景気回復に伴う正常な金利上昇ではなく、
このように、景気回復に伴う正常な金利上昇ではなく、
いびつな需給関係による金利上昇が起こりますと、
経済活動に悪影響を与えることは間違いありません。
それを避けるためにも、日本の国債市場に国内だけでなく、
他国からの資金も誘致することが必要です。
そこで考えられるのが、国内企業が抱えている、
270兆円とも言われる内部留保の活用です。
270兆円とも言われる内部留保の活用です。
現在、国内企業は積極的な資金活用から遠ざかり、
守りの体勢に入っていると言えます。
そこで、企業規模ごとにガイドラインを設け、
一定額以上の研究開発や設備投資を行った企業には、
税金の一部免除などの優遇措置をしていき、
内部留保の積極活用を促す必要があると思います。
そうすれば、金融緩和による見せかけの景気回復ではなく、
本当の意味で、日本経済が回復に向かうと思います。
そして、この国債市場にも日銀以外の買い手が現れて、
今後の悪い憶測を断ち切ってくれるのではないでしょうか。
(アルフィックス日報)