●サマータイム
  日本では導入されていないサマータイム。
 
  先進国ではサマータイムを導入している国が多く、
  日本でも夏場の電力不足や省エネという観点から、
  政府が何度も導入を検討していることは周知の事実です。
 
  そのサマータイムの歴史と日本における導入の是非について考えてみました。

  産業社会の誕生と時計の普及以降、
  人々は自然の光と一緒に生活をする事をやめ、
  1日を24時間と区切って夜眠りに付くまでロウソクを灯すようになりました。
 
  この習慣がいかに不効率かを人々に理解させたのが、
  18世紀の最も偉大な頭脳の1人と言われているベンジャミン・フランクリンです。
 
  後にサマータイム(Daylight Saving Time)を考え出しますが、
  普及するまで1世紀以上の時間が掛かったそうです。
 
  第一次世界大戦中の1916年、エネルギー節約の目的から
  ドイツとイギリスで始まり、他のヨーロッパ諸国へもわずかな時間で広まりました。
  その後、米国、カナダなどでも採用され、現在では約70カ国で実施されています。
 
  また、エネルギーの節約でも目を見張るものがあり、
  欧州では、2010年だけでも8500万ユーロの節約に成功したそうです。

  ここまで見てきますと、日本でも導入することが国益だと考えられます。
 
  実は、日本でも1948年~1951年にかけてサマータイムを導入しましたが、
  残業量の増加による労働条件の悪化からまもなく廃止されました。
 
  これは勤勉な日本人を表わす良い例と言えます。
 
  加えて、最近の研究では睡眠不足による肥満や生活習慣病、うつ病
  といった健康障害も指摘されています。
 
  2009年に経済協力開発機構から出されたデータによれば、
  日本人の睡眠時間は平均で470分、韓国の469分に次ぐ2位でした。
 
  つまり、就業時間を早めても、勤勉な日本人にとっては、
  就業時間(残業)が増えるだけとなり、
  結局のところ睡眠時間がさらに減少してしまう可能性もあるわけです。
 
  こうした見地に立てば、サマータイムの導入が
  健康リスクを高めるという考え方もできるわけです。

  このように見てきますと、サマータイムの導入は、
  エコ(合理性)と健康という2つの点から検討していくが必要がありそうです。
 
  つまり、サマータイム導入後も睡眠時間を今まで通りに
  確保できるのであれば、欧米諸国となんら遜色はないわけです。
 
  ただ、たった1時間でも、ヒトの身体はかなり敏感に
  この変化をストレスとして感じます。
 
  ストレスの多い現代社会において、人の三大欲求の1つである
  睡眠欲まで阻害されてストレスが増す、
  そこに合理性を求めることが果たして・・・。
 
  「眠くなったら寝る」のが一番なのかもしれませんね。
  (アルフィックス日報)