●大地を知る

  5月24日午後0時5分、鹿児島県の種子島宇宙センターから
  ある一基のロケットが打ち上げられました。
 
  そして、そこにはある人工衛星が乗せられていました。
 
  歴史を振り返ってみますと、人類初の人工衛星というのは
  1957年に旧ソビエト連邦が打ち上げたスプートニク1号です。
 
  それから現在までに7000基以上もの人工衛星が打ち上げられています。
 
  衛星自体は50カ国以上が保有しており、
  今や生活には欠かせない情報を与えてくれています。
 
  例えば、GPS機能、天気情報、衛星放送などがあり、
  これらを利用しない日はないと言えます。

  今回打ち上げられた人工衛星は「だいち2号」です。
 
  「だいち」は陸域観測技術衛星に分類され、
  地上を詳しく識別する機能に特化しています。
 
  そのため「だいち」の重要な役割として大規模災害の状況把握などです。
 
  それ以前には、「だいち1号」が東日本大震災で
  津波の浸水域や沿岸部の沈降などを観測していました。
 
  しかし、東日本大震災の2カ月後に電力異常で運用停止してしまいました。
 
  そのため、「だいち2号」が宇宙に飛び立つことになったのです。

  「だいち2号」は「だいち1号」と比べて地上の識別能力などが
  大幅に向上しており、物資輸送の迅速化などで
  大規模災害時の早期救援につながると期待されています。
 
  2号の機能の向上を見てみますと、
  国内の被災地は3日に1回しか観測できませんでしたが、
  1日2回観測することができます。
 
  さらに、省庁への情報提供は観測の3時間後になっていましたが、
  1時間程度で可能になりました。
 
  また、昼夜や天候を問わず観測できるレーダーに特化しており、
  地上で識別できる大きさは1号の10メートルまでから
  1~3メートルに向上しました。
 
  これにより、地表との距離を地震前後に比較し、
  隆起や沈降の地殻変動を数センチ単位で把握することができます。
 
  観測範囲は幅2320キロと約3倍に拡大し、
  広域の観測も可能になりました。
 
  全ての部分でグレードアップしたといえる
  「だいち2号」の今後の活躍が期待されています。

  日本は地震災害と切っても切れない関係にあります。
 
  そこで大事になってくるのはもちろん災害後の状況把握、
  そして、早急な対応です。
  また東日本大震災では、
  「だいち1号」が撮影した画像が関係省庁に配布されたものの、
  十分に分析できる人が少なかったと指摘されていました。
 
  やはり、最新技術に頼るだけでは、
  最善な策を生み出すことはできません。
 
  地球外から日本を見守る新たな衛星「だいち2号」は
  とても頼もしい存在ですが、地球に住む私達が人の生命と同じく、
  環境を守っていく心がけが何より必要なのかもしれません。 
 
  (アルフィックス日報)