【残業代ゼロ法案】
 
  安倍内閣は、今月11日、給与を「時間」ではなく、「成果」に応じて支払う
  (ホワイトカラー・エグゼンプション)法案、
  「残業代ゼロ法案」を2016年春にも成立させ、実施することを決定しました。
 
  対象の職種は為替ディーラーやファンドマネジャーなど
  年収1000万円以上とする考えを示し、今のところ対象者が少ない状況ですが、
  今後は適用範囲が広くなる可能性があります。

   実際に成果に対して年俸や、給料、ボーナスが決まるというのは、
  国際的に見ればフェアですし、外資系企業などはこれが普通です。
 
  残業代が出なければ長時間労働をしなくなり、
  生産性が向上し雇用や正社員化につながると見込まれています。
 
  その反面、サービス残業までが合法となってしまい、
  長時間労働に拍車がかかりかねません。

   そもそも、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入が先行する欧米企業では、
  一般的に、雇用契約を結ぶ際に、職務記述書を交付されるため、
  社員は自分の仕事の範囲が明確です。
 
  したがって、自分に与えられた仕事が定時内で終わらなかった場合、
  それは自分の能力や効率の問題なので、
  残業代がゼロになってもやむを得ないという考え方が通例となっています。
 
  逆に自分の仕事さえしっかりと定時内に終わらせれば、
  同僚の仕事が終わっていなかったとしても、特別な状況でない限り
  自分は帰宅することができ、社会的にもそれが当然だと考えられています。
 
  これに対して、多くの日本企業では、「部」や「課」といった組織単位では
  職務の範囲が明らかになっていますが、
  社員1人1人の職務内容までは通常明確になっていないことが指摘されています。
 
  すなわち、「チームで仕事をしている」というのが日本企業の労働慣習といえます。

   これまでの日本の発展を支えてきたのは、ものづくりや医療など
  他国には真似のできない技術を駆使してきた経緯があります。
 
  そこには、膨大な時間と研究がなされた結果に他なりません。
 
  その成功した歴史があるにもかかわらず、
  無理に欧米よりの成果主義に向かう必要があるのかは不確かです。
 
  まずは成果主義を実行する土台を整備した上で
  残業代ゼロが導入されることが求められます。
 
  そうでなければ、経営者も労働者も得をしない本末転倒の結果となりえます。
 
  成長戦略の一つにロボットビジネスが活況を呈している今日。
 
  人の代わりが務まるロボット時代がこれからやってくるかもしれない中、
  残業代ゼロは大きな分岐点になるかもしれません。
 
  (アルフィックス日報)