●『福岡市』
 
  九州は筑前、筑後、肥前、肥後、豊前、豊後、日向、大隈、薩摩
  という九つの国に分かれていました。
 
  今回は筑前の国、福岡市をご紹介いたします。

  博多湾に面するこの地域は古来より
  大陸方面への玄関口として利用されてきました。
 
  中世に商人による自治都市が形成され、戦乱で度々焼き払われながらも、
  豊かな町人文化を育んできました。

  黒田如水、黒田長政親子は、小早川秀秋の居城であった
  名島城(東区)に入城したとき、博多湾に面した小高い丘の上にあった為に
  城下町が作れませんでした。
 
  そこで1601年から当時の警固村(現・中央区)福崎に新たな城
  福岡城と城下町をつくりました。
 
  その際、出身地の備前国福岡(現在の岡山県瀬戸内市長船町福岡)
  に由来して、城下町を福岡と命名しました。
 
  中心部の那珂川から東を博多、西を福岡と呼び、
  博多のまちの自治も広く認めていたため、
  町人の商業都市・博多と武士の行政都市・福岡が機能分担しつつ
  隣接するという、全国的にあまり類例のない「双子都市」が誕生しました。

  その後、江戸時代から明治時代初めにかけて、
  福岡と博多は共存していましたが、
  1876年に福岡と博多は統合され福博(ふくはく)となり、
  現在の福岡市となりました。
 
  今では天神と博多として都心の両極となっています。
 
  天神は福岡市役所と多数の百貨店やファッションビルが集積する
  繁華街となっており、
  博多は在来線・新幹線のターミナルである博多駅があり、
  また福岡空港も地下鉄で数分と至近距離であるため、
  大企業の支社が集積するビジネス街となっています。

  天神と博多を隔てる那珂川の中州に形成された歓楽街は、
  中洲(なかす)として全国的に有名です。
 
  天神・博多・中洲・長浜などで夜間に常設される屋台の数は日本一で、
  屋台目当ての観光客も少なくありません。
 
  玄界灘・豊後水道から水揚げされる海産物、博多和牛に博多地鶏、
  博多野菜、明太子、そして博多ラーメン。
  秋の夜長に屋台のはしご。食欲の秋を充分満たしてくれそうです。
 
  (アルフィックス日報)