●史上最高=天井?

このところの原油価格の下落により、
旅行会社が円安の中でも海外旅行への需要を喚起するために、
「燃油サーチャージ込みで○○円」という
触れ込みをよく見かけます。

大手旅行会社のエイチアイエスでは、
韓国3日間で12800円(燃油サーチャージ込み)や
2月から往復航空券の燃油代金最大14000円引きなど、
否が応でも消費者の興味を引くものばかりです。

ただ、燃料費の下落で利益が増えるはずの航空業界で、
先月、スカイマークが経営破綻しました。

このところの円安や原油価格の急落、
そしてスカイマークの経営破綻から、
世界の航空業界の現状を少し垣間見てみました。

スカイマークは、2011年2月に海外進出のために、
エアバス社の超大型旅客機A380を6機発注します。

奇しくも、2011年3月期の決算での純利益が63億円。

ところが、急激な円安の進行が大きな負担となっていきます。

また、結果論ではありますが、
巨額投資における企業の鉄則とも言える為替予約を
全く行なっていなかったことも大きな痛手となったようです。

しかし、そもそも海外進出のために、
超大型旅客機を購入する必要があったのでしょうか。

世界の航空業界では、需要の中心は中型機で、
超大型旅客機の需要は限定的です。

ボーイング社もこのサイズの航空機の製造は行なっていません。

そのため、リース市場も中型機の市場に比べて小さく、
将来的なリスクも大きかったはずです。

ところで、エアバス社のこの大型旅客機A380の受注残が
今どれだけあるかご存知でしょうか。約300機です。

そのうち140機をドバイのエミレーツ航空が発注しています。

つまり、産油国の国営航空会社です。

このところの原油価格の下落によって、
産油国の収益が悪化していることは言うまでもありません。

冒頭にもある原油価格の下落による航空会社の収益増は、
国営航空会社にとっては無いものと同じです。

そうなると、産油国の国営航空会社の拡大戦略が裏目となり、
スカイマークの負債額の比では無い負債が
発生する可能性もあるわけです。

現在の世界経済の状況を考えれば、
産油国の航空機大量キャンセルにおける
世界経済に与える影響も想定しておく必要がありそうです。

超大型旅客機を製造するエアバス社の航空機受注残高
(全ての機種)が2014年末で6386機、
その金額が現在のレートで約108兆円です。

この数字は、史上最高です。

スカイマークの経営破綻と
産油国の国営航空会社の現状を考えれば、
「絶好調」とは言いづらい環境と言えるのではないでしょうか。

ただ、原油価格が上昇してくれば、
状況にも変化が現れそうですが・・・。

 (アルフィックス日報)