●ギリシャだけではありません

  ギリシャの債務問題に世界の注目が集まっていますが、
  同じタイミングでデフォルトの危機に陥った地域が他にもあります。

  それは米国の自治領であるプエルトリコです。
 
   同国は6月29日、総額720億ドル(約8兆8000億円)に上る
  債務の返済ができなくなったことを明らかにしました。

  その後、一部債務を返済し、猶予も認められたため、
  デフォルトはひとまず回避されましたが、米国にとっては、
  ユーロ圏にとってのギリシャと同様に
  深刻に取り組まなければならない問題になっています。
 
   ユーロ圏内におけるギリシャ経済の規模が小さいように、
  プエルトリコは米国経済のごく小さなシェアしか占めていません。

  プエルトリコが抱える720億ドルの債務も、
  「ミュニ」と呼ばれる3兆7000億ドル規模の米地方債市場の
  ごく一部と考えられがちですが、それでも米国の地方自治体史上、
  最大のデフォルトとなる可能性があります。

   これに対し、米国は今のところプエルトリコへの救済措置は
  与えないというスタンスを示しています。

  2013年にデトロイト市が破産宣告した時も同様の措置でした。

  米政府の救済禁止の原則は何十年も守られてきたため、
  少しでも原則を緩めると、多額の債務を抱えた他の米国地方自治体へ
  危険な前例を作ってしまうことになりかねないからです。

  では、プエルトリコの残された道は法的措置のみとなりますが、
  デトロイト市のように連邦破産法による保護を受けるには、
  州である必要があります。

  プエルトリコは領土ですから、まずは法改正が必要となってしまいます。

  今年FRBが取り組みたい一番の課題は“利上げ”です。

  プエルトリコがデフォルトという事態に陥り、
  米国経済に影響を与えることとなれば、
  それをも先延ばしにせざるを得ない可能性も高まります。

  米国はEU主要国へギリシャへの救済を訴えているようですが、
  他へ目を向ける余裕はあまりなく、
  本国自身の対処へ頭を悩ませているはずです。
 
   さらに、EUとロシアとの摩擦が続くウクライナも
  デフォルトが避けられない状況であるとの見方が出ています。

  先日2日にIMFからの融資が決まったものの、
  民間債権者との債務再編交渉は続いており、
  今月にも24日に迫る債務の支払いが困難になると
  ゴールドマン・サックスの報告書にも出されています。
 
  その他にもベネズエラ、エクアドルなど、11カ国の深刻な債務問題を抱え
  デフォルトリスクの高まる国はまだまだあり、火種は世界中に広がっています。

  緊張の夏の始まりかもしれません。

  (アルフィックス日報)